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2012.11/14 実技と相関する評価技術(1)

1991年にタバコの灰付着テストと相関する電気的測定方法はありませんでした。例えば、表面比抵抗とタバコの灰付着テストの灰付着距離との相関係数は、0.48です。電荷減衰との相関係数は0.38で相関が無いと見たほうが良いと思われます。面白いのは各種電気的測定方法のデータについて主成分分析を行った時に、2因子に大きくわかれ、その主成分分析の値を規格化して用いると、タバコの灰付着テストの灰付着距離と相関していたことです。この2因子の特徴づけを行うと、抵抗成分と容量成分とそれぞれ読み取れますので、フィルムのインピーダンスを測定することに致しました。

 

フィルムのインピーダンス測定で悩みましたのは、センサーの接触の仕方で測定値が変化することです。電気に詳しい方であればすぐに気がつかれるかと思いますが、電極とサンプル間のインピーダンスが影響することと、フィルム形状なので電極のセットの仕方により等価回路が変化するためと思われます。前者は測定方法のばらつきとなりますが、後者は測定値の意味と関係します。今回インピーダンスを測定する目的は、帯電防止なので、フィルムが帯電した時にどのように電荷が拡散するのかこれまでの測定データを用いて思考実験を行ってみました。その結果厚み方向に電気を流し測定したほうが電荷が自然に拡散するときの現象と合うのではないか、と推定されました。後者の問題は、市販のフィルム用電極を用いることにより解決できました。前者につきましては空隙法を用いれば解決がつくことがわかりました。

 

しかし空隙法は電極の空間インピーダンスとフィルムを挿入した時のインピーダンスの2回計測する必要があります。さらに測定データをフィルムの厚みと電極間距離を用いて面倒な計算をおこなわなければなりません。測定器とコンピューターPC9801をGP-IB経由で接続し、プログラム制御で計測を行うことにしました。当時まだWindowsも無かったMS-DOSの時代で、Visual BASICのような便利なソフトはありません。このような制御系のソフトウェアーはCとかアセンブラーの世界です。このタバコの灰付着テストと相関する電気的測定値を探索する研究で一番面倒なところでした。バグとりも含め10日ほどかかりました。マネジメントを行いながらプログラミングの教科書との格闘は地獄でした。

 

ソフトウェアーも完成し、フィルムのインピーダンスの計測を行いました。交流の良いところは抵抗成分と容量成分以外に周波数分散や誘電損失など測定データがいろいろ得られる点です。コンピューターで制御していますから、計測器の内部演算機能も制御すれば等価回路を変えた時の値も知ることができます。とにかくインピーダンス測定で得られるデータをすべてコンピューターで取り込み、データを多変量解析し、タバコの灰付着テストで得られる灰付着距離との相関するパラメーターを調べました。その結果インピーダンスの絶対値とうまく相関することが分かりました。灰付着距離が0以外のフィルムで相関係数を調べると0.99です。

カテゴリー : 電気/電子材料 高分子

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