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2012.12/11 酸化第二スズゾルのパーコレーション転移(続き)

酸化第二スズゾルをゼラチン水溶液に分散し、何も工夫せずTACフィルムへ塗布しますとパーコレーション転移を観察できません。50vol%も添加するとひび割れる為で、この添加量が上限となり、転移の閾値が観察されないのです。しかし、分散方法や塗布条件の工夫をしますと50vol%未満でもパーコレーション転移を生じるようになります。しかし、それは工程条件からかけ離れたものです。このときの閾値は、表面比抵抗ではわかりにくい。酸化第二スズゾルの添加量に対する抵抗変化が工夫前よりも大きくなったという程度の曲線です。どこに閾値があるのか不明で、パーコレーション転移の制御技術を開発するためには、まず閾値を見つける評価技術を作らなければなりません。

 

微粒子分散系のインピーダンスや誘電率は、低周波数側で異常な周波数分散を生じます。ゼラチンをコーティングしたTACフィルムのインピーダンスを評価しましたところ、酸化第二スズゾルが添加された場合に、やはり異常な周波数分散が観察されました。100ミクロンのTACフィルムに0.2ミクロンの薄膜を形成しているのですから、感度が高い検出力です。

 

様々な条件でTACフィルムに酸化第二スズゾルを添加したゼラチンをコーティングしたフィルムについてインピーダンスを評価しましたら、100Hz以下で急激な変化を示すサンプルがいくつか見つかりました。横軸に酸化第二スズゾルの添加量をとり、縦軸に20Hzのインピーダンスの値をとったグラフ上にそのサンプル群をプロットしましたところ35vol%以上のサンプルでインピーダンスの値が、35vol%未満のサンプルの値に対して10000倍になるグラフが得られました。表面比抵抗の値はなだらかな変化を示していますが、インピーダンスの値は、クラスターのでき方を検出している可能性があります。

 

明日は、インピーダンス変化をシミュレーションしました結果を説明します。

 

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カテゴリー : 高分子

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