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2012.12/12 インピーダンスの周波数依存性シミュレーション

酸化第二スズゾルをゼラチン水溶液に分散し塗布膜をTACフィルムに工程条件で形成するとパーコレーション転移を生じないが、分散条件や塗布液、塗布条件を制御するとパーコレーション転移が観察されるようになる。その転移の閾値検出には、20Hzにおけるインピーダンス変化を利用すると容易である。これは、インピーダンスの周波数分散が、導電性微粒子分散系では低周波数領域で大きく変化する性質を利用している。

 

この低周波数領域で生じるインピーダンスの異常変化について数値シミュレーションをおこなった。すなわち絶縁性のバインダーをコンデンサー、導電性粒子を抵抗に置き換えたモデルを作り、その数学的表現を検討し、モデルに合致する数式を導き出した。このモデルを表現した数式についてゼラチンの静電容量、酸化第二スズゾル粒子の直流抵抗の値で計算を行うと、酸化第二スズゾルの量が増加するに従い、インピーダンスの値が低周波数領域で異常分散を示す。

 

この数値シミュレーションは福井大学客員教授をしていた時に、青木幸一先生に教えていただいて行ったのだが、専門が異なると現象を前にした時の発想が異なる面白さを味わいました。当方は、有限要素法に類似の方法でパーコレーション転移をシミュレートするソフトウェアーを完成していたが、それは直流を前提にしていた。交流で計算するには、モデルを組み直し再度プログラミングをしなければならない。しかし数学モデルに持ち込んで数式化し、数値シミュレーションを行えば、エクセルで計算できてしまうのである。このような世界を真剣に勉強したことが無かったので感動しました。

 

さて、シミュレーション結果は何を意味しているのか。これはモデルと数式を見て考察するわけであるが、数式が複雑なので計算値の変化からモデルの動きを推定した。面白いことに静電容量が異常に大きく変化するところがある。そしてその影響でインピーダンスも大きく変化している。すなわち微粒子のクラスターが多くなることは、微粒子どおしの接触点が増えることを意味し、それは導電性粒子の距離が短くなり静電容量が大きくなる変化と等価で、数値シミュレーションの異常分散が生じていることが分かった。すなわちパーコレーション転移とインピーダンスの低周波数領域における異常分散とは密接な関係があったのである。

 

一連の成果については15年前に公開済みで、来年販売する帯電防止技術電子セミナーにおいて説明する予定です。

また、 弊社ではコンサルティング業務を含め、電子メールでのご相談を無料で承っております。

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カテゴリー : 電気/電子材料 高分子

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