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2013.02/08 高分子の混練技術

過去にも高分子の混練技術に触れましたが、混練時に発生する重要な機構として剪断流動と伸長流動が重要です。10年ほど前に推進された高分子の精密制御プロジェクトでは、伸長流動についてかなり研究されL/Dの大きな二軸混練機まで試作された。伸長流動について集中的に研究されたのはナノ構造を達成するためである。剪断流動は混練効率の高さに比べ分散してできる構造の大きさがミクロンオーダーまで、と言われている。過去の実験で混練時間を伸ばしても伸長流動の場合はナノオーダーまで達成できていたが、剪断流動ではミクロンオーダーまでであった。

 

同プロジェクトでは高速剪断についても研究され装置も試作された。一般の二軸混練機の2倍以上の回転数すなわち1000回転以上の高速で混練し、ナノオーダーまで達成できたことになっているが、市販された実験装置で実験を行うと、分子量の低下が著しく使いモノにならない。また実用レベルの装置を作るとなると巨大なモーターが必要になる実用性のない装置でありました。

 

カオス混合という幻の混練技術がある。新入社員時代指導社員に教えていただいたパイ生地の混練方法であるが、伸長流動と剪断流動がうまく組み合わさり、混練効率と達成できる構造の緻密さでこの右に出る混練方法は無い。過去にロール混練をいろいろ工夫してみたが、ロール混練でも同様のことを達成可能であるが、専用装置にはかなわない。ロール混練はバッチ式となり生産性が悪い。

 

混練の世界についてはシミュレーション方法も発展し、かなり解明が進んだが、問題はラボのデータを生産機で実現できないことである。新入社員の時に指導してくださった方は混練の神様のような人で、その方曰く、「実験室でも生産機を使え」であった。周囲が小さなニーダーで実験していたのをしり目にパイロットプラントで豪快に実験をやっていた思い出がある。大きなロールで混練を行うのは恐怖でしたが混練という技術を学ぶには良い体験でした。

カテゴリー : 高分子

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