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2013.02/13 弊社の問題解決法について<27>

前節で完成した系統図について、新QC7つ道具の親和図法の考え方を適用し課題の整理を行います。すなわち、課題が階層的に結びつけられている系統図を眺めた時に、各課題を結びつけている線、すなわち各課題の関係を一度忘れてください。そして、親和性の高い課題を集めてグループを作成してみてください。

 

多くの場合、課題の系統図を眺めて、おおよそ見えてくるグループを手掛かりに整理できますが、状況によっては、系統図の関係を完全に破壊してグループ分けをしなくてはならないケースも出てきます。しかし、それでもかまいません。そして、このグループ分けの作業で作られた、それぞれのグループにふさわしい名前を付けてください。この名前が付けられた各グループをK0ポイントと呼びます。

 

K0ポイントの名前は、グループに含まれる課題を概念化したものを使いますと、K0チャートを考えるときに便利です。K0ポイントの数は、問題の構造に依存します。すなわち、問題の構造が複雑であるにもかかわらず、K0ポイントが1つだけの場合もあれば、課題の数だけK0ポイントができる場合があります。

 

この親和図法を用いてK0ポイントを導き出す作業は、改めて問題の構造を見直す作業となっています。この作業で、問題を2つ以上の問題に分けた方がよいと思われるのならば、問題を分割しここまでの作業を再度やり直してください。ここでは、問題が一つの場合を前提に説明しますが、問題が2つ以上になりましても、ここから先の作業は、それぞれの問題について共通です。すなわち、このK0ポイントを決める作業は、問題が1つであるかどうかを検証する作業でもあります。

 

ここまでの作業に慣れますと、系統図を用いて問題の構造を作らなくとも、直接K0ポイントを導き出しK0チャートを作ることができるようになります。

 

しかし、問題の認識を共有化するツールとして問題の構造を表す系統図を用いることができるので、直接K0ポイントを導き出した場合でも、問題の構造を課題で表す系統図を作成したほうがよいでしょう。問題を他の人と共有化する必要が無い場合であれば、問題設定後作成するK0チャートだけでもかまいません。

 

K0ポイントができましたら、K0ポイントを問題解決のゴールである「あるべき姿」から、後ろ向きの推論を行い並べます。一本の道筋でK0ポイントがつながることもあれば、並列にK0ポイントが並ぶこともあります。このK0ポイントを並べる作業は、慣れるまでは課題で形成された問題の構造を見ながら行うと、簡単にできます。

 

こうしてでき上がった、K0ポイントを「あるべき姿」へ向けて並べた図がK0チャートです。K0チャートは、問題解決の道筋を概念的に表現したものです。すなわち、各K0ポイントを攻略すれば問題解決できる、ということを表しています。

 

どんな複雑な問題でも、その構造が明確になりますと、問題解決が容易になります。それゆえ従来の問題解決法では分析的思考を行い、問題の構造を細かく解析することにエネルギーを使用してきました。そして得られたそれぞれのアイデアについて、問題解決に結びつくかどうか、前向きの推論を用いて検証する作業を行い、解決策を探しました。

 

これに対し、エージェント指向を真似た本問題解決法では、問題の詳細な分析を必要としていません。それどころか、系統図で表した問題の構造を改めて親和図法によりK0チャートとしてまとめ直すなど、分析とは逆の手法、すなわち、課題を大きな概念でまとめ上げ、総合的に問題を眺めるようにしています。そして、問題に対して答(ゴール)となる「あるべき姿」から逆向きの推論を行い、知識を用いて得られた仮の問題の構造とゴールである「あるべき姿」との比較で、プランを立て直しながら問題解決の道筋に隠れている課題を求めています。

 

これはエージェント指向のパラダイムの特徴であるプランニング機能です。常にゴールである「あるべき姿」を目標に、逆向きの推論を駆使して問題解決の道筋を求めるゴール至上主義は、エージェント指向が登場するよりも前に著された宮本武蔵の「五輪書」にもその思想があり、問題解決の必勝法と思っています。

<明日へ続く>

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