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2013.02/21 ボーイング787の蓄電池事故

ボーイング787の蓄電池の事故は、配線ミスとの報道発表がありました。この発表の意味をどれだけの方がご理解されたでしょうか。

 

すでに報道されたように、蓄電池システムの蓄電池はGSユアサが請け負い、電池のマネジメントシステムはフランスのタレス社が担当しております。すなわち本来一つのシステムとして考えるべき装置を2社に化学が強くないボーイング社は発注しているのです。ここに今回の事故原因の根本があると思います。

 

例えば自動車というシステムは、多数のメーカーの部品でできております。自動車メーカーはその多数の部品の管理を行うノウハウが財産となっており、参入障壁ができあがっています。例えば、トヨタのリコール台数が多いことが問題にされた記事を読みましたが、これは素人の発言で、リコールを公開できるのはその部品管理システムがうまく機能しているからです。むしろリコールが批判されるほど正直に運営しているメーカーの管理技術がすばらしい、と考えるべきでしょう。

 

過去に三菱自動車がリコール隠しで問題になりましたが、その後もリコールが少ないことに不安を感じているのは私だけでしょうか。自動車のようにリコールができる商品は、新技術をテストするときに早めに商品として出して市場でバグ出しをした方が開発を速く進めることができます(本当にそのようにやっているかどうかは知りませんが)。以前ブリヂストンのタイヤは多くの安全テストをクリアしなければ商品とならない話を出しましたが、これはブリヂストンという企業の考え方です。リコールという手段が使えるならばリコールを使って、という考え方も技術開発の考え方としてあります(石橋を叩いても渡らないぐらいの考え方で開発された商品をユーザーとして歓迎しますが、リコールできちんと対応して頂けるならば我慢)。また、隠す、という手段もあったわけです(こちらは法律に触れますのでやってはいけない行為です)。

 

しかし、飛行機の場合リコール前提に新技術を投入されたら大変です。飛行機にはFMEAが充分行われた部品を搭載すべきでしょう。新技術を搭載するときでもすでに実戦に投入された技術を採用すべきです。Liイオン二次電池大容量蓄電池システムはまだ実戦投入された実績はないので、以前ここで飛行機に搭載するのは時期尚早と述べました。

 

日本では新規開発の飛行機の導入を過去に行わなかったが、今回の787は世界に先駆け行ったので初期不良が目立ちます、という報道を聴きましたときに、怖くなったのは私だけでしょうか。飛行機は自動車と異なる安全基準と思っていましたが運行後の部品事故を容認する発言があるのは、おかしいと思っています。

カテゴリー : 電気/電子材料

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