活動報告

新着記事

カテゴリー

キーワード検索

2013.02/22 弊社の問題解決法について<36>

①    についてかなりの自信があったならいきなり消去法の実験を行うことができた、と思いますが、実際には②と③の実験を行い、③の実験から①の答を確信した、とテレビ放送の中で語っています。このことから①の答が正しいという自信はあまりなかったのだろうと、想像できます。当たるも八卦、当たらぬも八卦ぐらいの楽観的な気持ちだったかも知れません。三万個の遺伝子の中からiPS細胞を作る遺伝子を見つける、という壮大な目標に対して強い意志で臨むためにはそのくらいの楽観主義でなければ、やり遂げることができないと思います。もし、ここで説明したような考え方で、いきなり消去法の実験を行い、答を見出していたとしたら、楽観主義者ではなく自信過剰の人物に見えてきます。

 

余談になりますが、②の実験がどうして必要であったのか説明します。もし四個の遺伝子を同時に組み込むことが必須であるなら、四個の遺伝子が見つかってから、四個の遺伝子の組み合わせ以外では細胞の初期化ができないことを示せば最も実験数が少なくなります。実際に山中博士は四個の遺伝子の組を発見後、再度繰り返しその実験を行った、と著書に書かれておりました。

 

②    実験が必要であったのは、ある仮説のもとで二十四個の遺伝子を選び出していますので、選び出した遺伝子一つ一つの細胞への機能を確認したかったのだと思います。そして選び出された遺伝子一つ一つでは細胞の初期化ができない、という研究論文を書きたかったのだろうと思います。これは、科学的に完璧な手順で論文を書くことができます。

 

しかし、絞り込まれた二十四個の遺伝子の中に当たりが入っていたので、科学的プロセスにこだわらず、非科学的プロセスで長期的ビジョンのゴールをなりふり構わず目指したのだろうと想像しました。もし山中博士が長期的ビジョンを持たず、すなわち困難ではあるが達成しなければならない「あるべき姿」を目指していなければ、そこからの逆向きの推論で得られる二十四個の遺伝子を細胞に組み込むという思いつきの実験を行わなかっただろうと推定されます。

<明日へ続く>

カテゴリー : 連載

pagetop