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2013.02/28 ポリスチレンの難燃化

ポリスチレン(PS)は、側鎖にベンゼン環がぶら下がった形の分子構造を持っている高分子です。ベンゼン環が入っていますと、一般にLOIは高くなりますが、側鎖基にぶら下がったPSでは、ベンゼン環を含まない高分子と大差はなく、18.5前後です。

 

ゆえにPSを難燃化して空気中で自己消火性にするためには、リン酸エステル系難燃剤が用いられる。しかし、リン酸エステル系難燃剤を添加した場合には、可塑剤として働くので、弾性率等の物性が低下する。アンチモン系の難燃剤も過去に検討されたが、環境への配慮から最近ではリン酸エステル系難燃剤を使用するケースが多い。

 

高い難燃性を得たい場合には、難燃剤を大量に添加することになり、弾性率だけで無く靱性なども低下する。線形破壊力学によれば弾性率の低下とともに靱性は向上するが、添加剤が入ったときには、その添加剤が形成するドメインの大きさで靱性が影響を受け、このように靱性が低下する場合がある。

 

物性低下を最小限にして、高い難燃性を得るためにはどうするか。このような問題解決には、ポリマーアロイの技術が使用される。すなわち難燃性の高い高分子を添加してマトリックスの難燃性レベルを持ち上げてから、難燃剤の検討を行うのである。このとき難燃剤の分散状態も変化しているので、その効果の検討には注意を要する。すなわちプロセス因子の寄与も大きくなるのである。

 

PSの場合には、ポリフェニレンエーテル(PPE)がよく使用される。これはPSとPEがうまく相溶系のポリマーアロイを形成し、どのような比率でもほどよい物性が得られるからである。面白いのは、PS/PPE/難燃剤の3元系の検討であるが、難燃剤の構造とPS/PPEの比率で難燃剤の添加量と難燃性が変化することである。PPEはPSよりも価格が高いので、コストパフォーマンスを狙うときには、弊社にご相談ください。

カテゴリー : 高分子

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