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2013.03/08 ポリカーボネート(PC)系ポリマーアロイ

かつてテレビや電化製品の外装材といえば、ABS樹脂が主流でした。しかし、最近はPCとABSをブレンドしたポリマーアロイがよく使われています。

 

PCはCDに使用されている光学特性に優れた樹脂です。しかし、耐衝撃特性(すなわち割れやすい)や流動性(射出成形時に複雑形状を作れない)が悪い、という欠点があります。高分子材料技術では、一成分のポリマーの物性を改良するためにブレンド技術がプロセスと処方の両面で開発されています。

 

PCとABSのポリマーアロイは、PCの物性を改良するために開発された、と教科書には書かれています。この説明はおそらく間違っていないでしょうが、その材料の射出成形体のきれいな外観を見ますと、ABSの安っぽい外観を改良するために考案されたような印象を持ちます。

 

最初にこの組み合わせを考えた人がどのようなコンセプトでポリマーアロイを設計したのか聞いてみたい気がしています。流動性を改良するためであれば、PCにナイロン樹脂をブレンドしても目的を達成できるからです。またPSをブレンドしても耐衝撃性や流動性をある程度改善できます。

 

確かにPCとABSのポリマーアロイPC/ABSの物性に及びませんが、コストはナイロン樹脂やPSをブレンドした方が安価です。コストや物性のバランスを見ているとPC/ABSの選ばれている理由が良好な外観にあるように思えてきます。

 

このPC/ABSのポリマーアロイにも泣き所が有り、少し高度な射出成形技術が要求されると言うことです。すなわち多成分系のブレンドなので、金型温度などの射出成形条件をうまく管理しなければ、テープ剥離というような外観の品質問題が起きやすい。この品質問題はこれまで射出成形技術の問題とされていましたが、コンパウンドの混練に先端技術を用いますと皆無にできます。すなわちコンパウンドの寄与が大きい故障です。もしご興味がございましたら弊社へお問い合わせください。

カテゴリー : 高分子

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