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2013.05/14 成功する技術開発(19)

1983年4月から無機材質研究所(現在の物質材料研究機構)へ留学した。担当したテーマはSiC単結晶の線膨張率直接測定。X線四軸回折計のゴニオメーターに取り付けられた6Hや2HのSiC単結晶をレーザーで2000℃まで加熱し、結晶格子の座標系から線膨張率の異方性を直接観察する研究であった。市販されている接着剤の耐熱性が1000℃前後が限界なので、2000℃まで実験することができず、その接着剤を開発しなければならない。

 

科学で考えると大変難しい仕事である。しかし、このような問題は技術で考えると易しくなる。あるべき姿は、SiC単結晶がゴニオメーターに2000℃まで安定に固定されている状態を作り出せば良いのである。ゴニオメーターは金属でできた精密部品である。しかし、カーボンロッドの先に取り付けられた単結晶をレーザーで直接加熱しているので、40℃以上に上がっていない。残る問題はカーボンロッドとSiC単結晶の接合部分である。2H単結晶は1400℃で転移するのでカーボンとの拡散接合という手段が使えない。

 

世の中に存在する接着技術で2000℃までSiC単結晶とカーボンロッドを安定に固定することは不可能であるとすぐにわかった。技術的視点からは、安定に固定する機能をどのように実現するのか、という問題となり接着以外の固定方法を考えることになる。

 

2000℃まで安定な材料はカーボンがある。カーボンでSiC単結晶を包み、それを石英製の透明ガラスに不活性ガスとともに封入すれば技術として完成する。石英製の透明ガラスは、予め豆電球の構造に作っておき、その中にカーボンロッドとSiC単結晶、不活性ガスを封じ込めば良いのでガラス細工で何とかなる。有機合成実験ではガラス細工は必須の技能であったので、成功に至る手順は頭の中に具体的に描かれた。

 

残る問題は、どのようにSiC単結晶をカーボンで包みカーボンロッドに固定するのか、ということである。

 

<明日へ続く>

カテゴリー : 一般 電気/電子材料 高分子

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