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2013.05/20 成功する技術開発(25)

かつて研究開発を行う時に、シーズを基に行うのか、ニーズを基に行うのかという議論が成された時期があった。しかし昨今のiPHONEやiPADを見てニーズを創り出す研究開発が重要、と言う人がいる。

 

シーズとニーズ議論の時にも議論の内容に違和感を感じましたが、このニーズを創り出す研究開発論も「何を今更」という印象を受ける。それぞれ間違ってはいないが、ただその時代に起きた現象を説明しているだけ、との印象を受けるのは何故だろう。

 

企業のこれまでの研究開発でニーズを考えないで行われていた例があるのだろうか。そのスキルに差があるがどこの企業でもマーケティングは行っているはずだ。iPHONEやiPADでもニーズが期待されて開発された商品である。故S.ジョブズ氏にもマーケットを見誤り失敗していた時期があったのは著書を読むとわかる。また、シーズ指向で研究開発を行っていても、将来のニーズを期待しての活動であったはずだ。時代の流れの中で研究開発の効率が悪くなった時にこのような議論が起きているように感じる。

 

iPHONEでは、インテルが事業規模を見誤り、アップル社からチップ開発を依頼されたがコストが合わないという理由で断った話が公開された。ニーズをよく考えて失敗した例になるのだろう。単純にシーズニーズから研究開発の効率をあげる議論はできないように感じる。研究開発のあるべき姿は、企業と市場にイノベーションをもたらし利益を生み出す活動となるが、どのようにイノベーションを起こしたらよいのかは、企業の使命や置かれた環境で変化する。

 

このイノベーションを考える時に価値の共創という市場の動きに注目することは重要である。昔もあったが、モノがあふれてどのような商品開発を行ったらよいかわかりにくくなっている昨今、この価値の共創という市場の動きを活用して研究開発を行うことは重要であり、その方法を解説した本も出版されている。

 

価値の共創ではシーズも重要になってくる。その企業の強みであるシーズから市場で価値の共創が行われ新たな価値が生み出されたならば、他社にまねされにくい独自商品を生み出せるからである。価値の共創過程を見ていると、企業の持っているシーズを新たな視点でカテゴリーを再編成する必要性を感じる。シーズのこのような見直しは、研究開発の効率改善に役立つ手段と思う。

カテゴリー : 一般 電気/電子材料 高分子

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