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2013.07/16 科学と技術(リアクティブブレンド4)

「リアクティブブレンドだから均一に合成できて当たり前」というメンターの一言は、300種類もの配合処方を検討する動機になった。また、当時相溶しない系のブレンドでポリマーを相溶させて安定にする唯一の手段はリアクティブブレンドだけであることも学会で議論され始めていた。このような状況からポリエチルシリケートとフェノール樹脂を均一に混ぜるためには、リアクティブブレンド以外に技術的手段は無いと予想された。しかし、化学式を見るとポリエチルシリケートに、反応点は存在しない。

 

 

ところがポリエチルシリケートは、加水分解でシラノールを生成するので、フェノール樹脂のフェノール性水酸基あるいはメチロール基と反応する可能性があり、唯一の手段と言われるリアクティブブレンドで「当たり前」に均一にできると弊社の問題解決法で予想された。当時この組み合わせで高純度SiCを製造する方法が知られていなかったのは機能を達成する手段を仮に推定できても、機能を実現するための条件を見つけるのが大変だったのである。また、その条件を見つけるためには、通常の問題解決法であれば、触媒存在化におけるポリエチルシリケートの加水分解速度の研究や、エタノール/ポリエチルシリケート/フェノール樹脂/水/触媒で構成された系の研究など膨大な時間が必要に思われた。

 

 

科学で真理を追究する場合と比べれば、技術で機能実現のための条件を求める作業は、時間をかければ達成できる易しい作業である。時間がどれだけかかり、それが許されるのかどうかが問題となる。この時間の問題は効率をあげる方策を打てば短くできる。方策の一つとして弊社の問題解決法は有効である。問題を科学的に真正面から捉えると膨大な時間が必要に思われても、弊社の問題解決法を用いるとこれを効率化でき、実際に高純度SiC前駆体の合成条件を1日で見つけることができた。

 

 

一方科学で真理を追究する問題をすべて科学的に行う事はかなりの困難を伴う。イムレラカトシュがその著書「方法の擁護」で指摘したように、科学的に完璧にできるのは否定証明だけ、という限界があり、過去の法則を否定することは容易だが真理を科学的に見いだすことは至難の業となる。

 

 

ところが科学で真理を追究したいときに、それを効率良く行いたいならば、技術的手段を取り入れ、弊社の問題解決法を用いると効率良く研究を進めることができる。技術的手段で真理を見つけておいて、科学的証明を加える、という方法が効率をあげる。例えばノーベル賞を受賞した山中博士もこのような方法と類似の方法で科学的成果を出している。ゆえに科学にも弊社の問題解決法は効率を上げる有効な方法である。

 

 

技術では、機能実現の手段が見つかり、それが科学的に証明された場合に当たり前となる。リアクティブブレンドについては、ポリウレタンRIMで当時研究が進んでいたが、先端技術の一つであった。ゴム会社では、1970年代にポリウレタンタイヤを検討した実績があり、リアクティブブレンドに関しては高い技術が存在し、メンターの「当たり前」の一言に象徴されるように伝承されていた。そしてその技術の伝承のおかげと弊社の問題解決法で、半導体用高純度SiC前駆体ポリマーが1日という短時間で合成された。

カテゴリー : 一般 電気/電子材料 高分子

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