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2013.11/20 ゾルをミセルとして用いたラテックス

高純度SiC前駆体は、フェノール樹脂とポリエチルシリケートを酸触媒存在下で反応させて均一混合を実現している。有機無機複合材料の合成手法として30年以上前には画期的な方法だった。この30年間に京都大学中條先生や東京理科大阿部先生、郡司先生その他無機高分子研究会に関係されている諸先生方により、様々な有機無機複合材料の新しい合成手法が提案された。

 

分子レベルでハイブリッドにする方法以外に多段湿式法という超微粒子を均一に混合する手法もセラミックス合成において有機無機ハイブリッドと同様の効果があることが見いだされた。すなわち新しいセラミックス材料を合成するときに分子レベルまで均一に分散していなくてもナノオーダーレベルの超微粒子を用いれば同様の効果が得られるらしいことが分かってきた。

 

ここで「らしい」と書いたのは、高純度SiCの反応機構解析を行ったときに、前駆体中にエアロゾルのシリカを混合した場合には、気相反応が少し関与することが観察されたからである。しかし、多少反応機構が変化しても生成するSiCの形態に大きな影響は無かったが、シリカ源としてエアロゾルの割合を増やすと、SiC化の条件によってはウィスカーが生成する場合がある。フェノール樹脂とポリエチルシリケートから合成した場合には、どのようなSiC化の条件でもウィスカーは生成しない。

 

このように前駆体の構造(分子レベルで均一になっているのか、超微粒子で構造を作っているのか)は生成物に多少なりとも影響を与えるが、工業的見地からは経済性が優先される。ナノオーダーの超微粒子でも分子レベルで均一に分散した場合でも生成物に大きな影響が無ければ、経済的に有利な手段が選ばれる。一般に金属アルコキシドの価格は高い。

 

そこで超微粒子を有機化合物と均一に混合する新しい経済的な手法が意味を持ってくる。写真会社に転職してこのような問題意識も有り、ゾルをミセルに用いたラテックス重合技術というアイデアを煮詰めていた。また、セラミックス合成の前駆体以外の用途として、薄膜にセラミックス超微粒子の持つ機能を付与したい場合にもこの方法は有効である。たまたま転職した写真会社でこの技術を実用化しなければならない状況になった。1991年の話である。

 

カテゴリー : 電気/電子材料 高分子

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