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2013.12/24 技術と科学(2)

技術開発を科学的に進めようとした時に科学で解明されていない知識を用いなければならないケースが存在する。例えば混練技術。混練中の樹脂の挙動はシミュレーション技術が発達した今日においても未解明の部分ばかりである。オープンロールを用いた混練でさえ十分な解明が行われていない。

 

科学的知識を用いることができない技術開発では新しい科学的知識を自分たちで研究し見いださなければ、科学的な技術開発は不可能である。たとえ科学的論理に基づき技術開発を進めたとしてもそこに用いられた知識の数々が経験に基づく知識であれば、それは科学的な技術開発ではない。

 

科学に基づく知識を用いていない時の技術開発について論じた本を読んだことはあるが、そこで注意しなければいけない点について明確に論じた方法論を読んだことはない。多くの会社で科学に基づく知識を用いない研究開発を行っているはずなのにその問題点を論じた本がないのは、恐らく売れないからであろう。少なくとも多くの企業では、科学的に研究開発を進めろという号令の中で仕事を行っているので非科学的なケースについて考える風潮は無い。

 

新人で最初に担当したのが樹脂補強ゴムでこのテーマは科学と技術を考えるにあたり大変勉強になった。また会社の風土も大変良く、経験の伝承が円滑に行われていた。すなわち経験知も用いることを前提にした技術開発が行われていた。KKDによる技術開発も恥ずかしい、という風土ではなかった。むしろKKDと科学的方法論がうまくミックスされて技術開発が行われていた、ともいえる。

 

役員クラスも研究開発部隊に技術開発を求めていて純粋な研究のための研究を評価しない姿勢が明確であった。ただしアングラで研究を行うことを認めていたので高分子研究のポテンシャルは高かった。今ならばサービス残業を強いるブラック企業と言われかねないが、研究者にとってはブラックではなく天国の研究環境が揃っていた。科学的知識と経験知をうまく使う技術開発が「美しく」行われている環境では技術の伝承もうまく行われていた。

 

カテゴリー : 一般

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