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2014.01/18 高純度SiC(1)

高級オーディオにSiC半導体を採用したアンプが登場した。すでにインバーターやLEDにSiCウェハーは活用されているが、SiC半導体の実用化技術は、この30年間の成果である。

 

SiCは、エジソンの弟子アチソンにより発明された人工材料でカーボランダムとも呼ばれている。エジソンは山っ気のある人物でダイヤモンドの合成研究をアチソンにやらせていた。アチソンは石英製のルツボでカーボンを加熱し、ダイヤモンドに転化しようと努力していた。ある日偶然に硬い結晶ができたのでびっくりして調べてみたらダイヤモンドではなくSiCだった、という。

 

ルツボに用いた石英がカーボンと接触し、1600℃以上の温度で反応してSiCができたのである。現在でもSiCのインゴットを製造する方法としてアチソン法というのがあり、彼の名前が残っている。このアチソン法というのは豪快な方法で、石英とカーボンを混ぜた状態の原料に電気を流し発熱させSiCの反応を行う。このような製造法ゆえにSiCは多結晶体のインゴットとして得られる。

 

このインゴットを粉砕し研磨剤として長い間使われてきた。また他のセラミックスをバインダーとして耐火物セラミックスとする開発も一部で行われてきた。この材料の技術革新が急激に進んだのは、1980年代のセラミックスフィーバーの時で、様々なSiC合成法が開発された。

 

いろいろ開発されたSiC合成法の中でユニークなのが、ゴム会社で開発され日本化学会技術賞を受賞したフェノール樹脂とポリエチルシリケートのポリマーアロイを前駆体に用いるSiC合成法である。この技術シーズは、フェノール樹脂発泡体の難燃性を上げるためにフェノール樹脂にシリカを分子状態で分散できないか、すなわちポリシリケートとフェノール樹脂のポリマーアロイができないか検討していた過程で生まれた。

 

30年前に開発された技術で基本特許は切れたが、最近でも某セメント会社から本合成法にシリカ粉末をまぜ、驚くべき効果が得られたとして特許出願がされている実績のある合成手法である。また某ゴム会社では現在でもこの方法で合成された高純度SiCを用いた事業が継続されている。

 

 

 

カテゴリー : 一般 連載 電気/電子材料

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