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2014.01/27 冷凍食品農薬混入事件

マルハニチロホールディングスで起きた冷凍食品農薬混入事件について犯人が逮捕され社長が辞任した。このような事件は日本では起きなかった、時代の流れ、という論調の記事が以前あった。また、この数日の新聞の論調には派遣社員が諸悪の根源のような記事もある。原因はいろいろあるだろうが、かつて企業内事件の被害者の立場から企業の風土が抑止力となる、健全な企業経営が重要である、という点を指摘したい。

 

おそらく今回の事件について犯人から事情聴取を行い、犯人の性格分析その他から事件に至った経緯と原因が説明されるだろう。しかしこのような調査分析から解析が難しい因子がある。企業風土である。職場環境についてはヒアリングなどの状況証拠で原因の幾つかが見つかるかもしれないが企業風土については難しい。

 

人間の行動や心理について科学的な研究が進んでいる。マズローの欲求五段階説などは、その一つの成果である。また、ドラッカーの著作は知識労働者がどのように社会に貢献したらよいのかを示した成果と読むこともできる。今回の事件もこれら成果から多くの学者がコメントを述べるだろうが企業風土の観点から考察できる学者はどれだけいるだろうか。

 

12年勤務したゴム会社は創業者の伝説が今でも生きている健全な企業風土の会社である。またその企業風土を信じることができたので、FDを壊された被害者でありながら誠実真摯に判断して事業を他の人に託し会社を去ることにした。そして高純度SiCの事業は今でもその会社で継続されている。健全な風土の会社でも大きなアメリカの会社を買収し、その負担から会社の建て直しを強引に進めなくてはいけない状況で従業員まで犠牲を強いるような事態になれば、職場環境が歪みおかしな事件も起きるのである。

 

しかし、もともと健全な企業風土の会社なので新聞沙汰になった事件が発生したところで社長が辞任し、昔ながらのすばらしい風土の会社に現在は回復している。サラリーマンは不測の事態に遭遇したら頭を隠してじっとしているのが一番、といった母の教えは健全な企業風土の会社では正しかった、と思う。すなわち創業者の伝説と健全な企業風土がある限り、いずれは改善されるからである。

 

昨今ブラック企業が騒がれておりその内容を読むと企業風土など念頭にない会社もあるようだ。一度良い企業風土の会社に勤務した経験があるとブラック企業という存在およびその経営者の感覚を理解できなくなる。今回の農薬混入事件では社長が辞任し新たな経営者になるが、その経営者に提案したい。企業風土の見直しに取り組まれてはいかがか。

 

 

 

カテゴリー : 一般

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