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2014.02/02 STAP細胞発見の意味(2)

今回の発見の意味について、問題解決でヒューマンシステムが重要になってきたことを昨日指摘した。異なる側面であるが日本の若手研究者に対する研究環境の変化について述べてみたい。

 

かつて20世紀の研究開発環境には老害の問題が指摘されていた。権威ある先生が若手の研究成果を自分の成果として公表していた例もある。当方も会社で独自に研究を進め、論文の下書きをして会社の許可を得て論文発表の価値評価を頂くためと学位申請をお願いするためにT大の先生にご相談に行ったら、大変良い論文だから、とその先生の名前が筆頭で論文発表された経験を持つ。その様な時代があったのだ。

 

また企業内部における成果の扱いもひどいもので、他人の成果を自分の成果として学会発表しても最終的に企業の成果になるのだから、と実際に実験を行い死の谷を必死で歩いたその成果を他人に発表されても我慢するより仕方のない状況であった。そのような時代があったことを思い出すと、実際に新しい現象に着眼し、その問題解決を実際に進めている人が若手の女性であってもその人をリーダーにして研究を進め、成果が出たところで評価したというニュースはもの凄い衝撃的なことなのだ。

 

もし20年前ならば、今回のようなニュースの取り上げられ方にはならなかった、と思われる。国立大学の先生に高純度SiCの論文の執筆者筆頭にしてもらえなかったのは20年前なのだから。また企業の中には未だに研究成果の扱いを曖昧にしている企業もあるので、むしろ国の研究システム体制の先進性がSTAP細胞のニュースで明らかになったのではないだろうか。

 

今年の6月に開催されるフォーラムで高分子学会から招待講演の依頼を受けた。退職後もカオス混合の研究を続けるために起業をしたのだが、混練技術というローテクに見られている分野だけに経済的には大変である。もし関心のある方は、講演を聴きに来て頂きたい。すでに国内外の企業で生産に使用されている技術である。若手だけでなく未知の分野をめざし年寄りも頑張っている。

 

今月末には技術情報協会のセミナーで高分子の難燃化技術について新しい知見を講演する。こちらは弊社に問い合わせて頂ければ割引券があります。

 

燃焼時にガラスを生成し高分子を難燃化するトリックを考案して33年、難燃剤を使用せずLOIが18程度の樹脂を配合処方の工夫でUL94規格を通過させる技術へたどり着いた。この技術はじめ退職後研究を続けているナノテクによる難燃化技術の将来について述べる。

 

カテゴリー : 一般 連載

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