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2014.03/03 有機無機複合ラテックス(2)

コアシェルラテックスはゼラチンの靱性改良技術として究極の方法と考えられた。少なくとも従来のシリカとラテックスを併用する方法で、それをナノレベルで一体化しているのだから究極と呼んでも良いだろう。

 

転職した会社では重要テーマと位置づけられ後追い技術が検討されていた。後追い技術では特許回避が必須となる。当然技術に無理が生じる。写真性能へ副作用が現れたり、工程で問題を起こしたりと様々な弊害が現れる。

 

何故同じ技術を追究しなければいけないのか担当者に尋ねた。担当者は他に技術が無いからだ、と答えてきた。また、コアシェルラテックスは自分たちも追求していた技術だという。頭が熱くなっている状態で他のアイデアを考えさせても無駄である。

 

3名ほど高分子物性に興味を持っている連中を集めて、従来技術とコアシェルラテックス技術の違いをまとめさせた。するとゼラチンを硬くする、という目的のためには、従来技術のほうがコアシェルラテックスよりも優れていることが分かった。換言すればコアシェルラテックスは、水で膨潤したときのゼラチンの硬度低下を和らげる程度であるが従来技術は、水で膨潤したゼラチンにある程度の硬さを持たせる効果があった。

 

コアシェルラテックスは究極の技術では無かったのである。シリカのまわりをラテックスで覆った副作用があったのだ。

 

一方従来技術では、シリカとゼラチンが直接接触しているので、ゼラチンを硬くする目的では、コアシェルラテックスよりも効率が高く、同一シリカの量で比較するとゼラチンの弾性率を高くできる。問題は、シリカとゼラチンを混合、あるいはシリカとラテックスを混合するときにシリカのゼータ電位が変化し、一部凝集する現象である。すなわちこの混合時に発生する凝集の問題を解決すれば従来技術でも超迅速に対応出来るゼラチンを作ることができる。(続く)

 

 

カテゴリー : 一般 高分子

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