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2014.03/11 小保方さん、ガンバレ

STAP細胞論文の共著者山梨大教授が、論文取り下げを呼びかけている、という。おかしな話である。毎日新聞の取材に対してご自分が関与した研究が信用できなくなった、と発言している。現在公開されている状況から、もし間違っていたとしたら科学者として早めに白旗を揚げた方がキズを深くしないと判断された結果だろう。

 

山梨大教授は最も身近で共同研究をしていた人である。彼が白旗を揚げたら小保方さんはどうなるか。科学者としての判断は正しいかもしれないが、男としての判断には「?」がつく。しかし、こと問題は男の器量で議論する問題ではなく科学の問題なので「立派な教授」の行動と考えるべきか。

 

30年ほど前に有機無機ハイブリッドから高純度SiCを合成する新手法を開発し、その反応速度論の論文をまとめていた。学位の相談に国立T大O助教授を訪問したところ、O助教授は「研究として先駆的であり重要だから」と言ってご自分を筆頭にして、論文を勝手に投稿してくださった。実験企画から実験データ収集、データのまとめまですべて一人で行い、その先生には学位論文のご相談にのっていただいただけなのだが、ご丁寧に論文を迅速に出してくださった。

 

STAP細胞の騒動を見ていると、真の発明者を末席にした論文を投稿してくださった先生には感謝しなければいけないのかもしれない。当時無機高分子と有機高分子とが均一に混合され、有機無機ハイブリッドが合成されるという研究は誰もやっていなかったキワモノの研究だったから学位も持っていない人間が一人で論文投稿してもボツになる可能性は大きかった。それを権威ある先生が筆頭で投稿してくださったのだから。

 

また、会社から前駆体高分子の詳細については論文に書いてはいけない、と指示されていた。すなわちノウハウとしてブラックボックス化し、事業を有利に展開した方が良い、という判断で、論文の書き方も工夫しなければいけない状況であった。それを研究には関与していなかったO先生はうまく書き直して出してくださったのだから、親切と解釈すべきか?

 

前駆体高分子の部分をブラックボックス化した結果、他社でまねをすることができずゴム会社は独走することができて、30年経過した現在もその事業は続いている。技術として成功しているが、その後日本化学会から賞を頂くまで科学として評価されることは無かった。

 

科学では、真実が全てである。理研の発表では、現在も研究の概要に間違いは無い、と言っているのだから、STAP細胞の存在は真実の可能性は高いと思われる。小保方さんは、そのSTAP細胞の発見者として歴史に残るだろうし、残って欲しいと思う。学位論文の疑惑も含めいろいろと問題噴出の研究者のようだが、今回の業績は切り離して考えるべきである。山梨大教授も緑色に光るマウスを見て感動した、と1ケ月前には発言していたわけで、ここは彼女を支える側に回り、日本人が感動する人情劇を見せて欲しかった。

 

若い経験の浅い研究者の場合に勇み足はよくある。しかしそれを指導し育てるのは年上の研究者の役割である。今回第一発見者の若手研究者の栄誉も明確になっており、とかく徒弟制度的情景が見られる研究分野では極めて稀なケースではないだろうか。

 

もし本当に大きな間違いであったなら、それは論文執筆者全員の責任である。彼女がインチキでもして他の研究者を欺いていたならば論文取り下げ呼びかけを一人の研究者がマスコミに発表しても良いが、そうでないならば共著者全員の意見が揃ったところで論文取り下げを公表すべきであった。

 

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