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2014.03/23 人生の歯車

STAP細胞の騒動で人生の歯車が一度狂ったときの怖さを改めて学んだ。ノーベル賞候補から一気に未熟な研究者へ、そして今、学位の再審査と自主退所に追い込まれているという。あまりにも大きな変化である。このようなときにはドラッカーの誠実で真摯な姿勢が重要となる。

 

例えばもし学位論文だけでも誠実に作成していたなら学位の再審査は免れただろう。もし科学論文には真実が厳しく求められると言うことを軽く考えなかったら今回の騒ぎにはならなかったろう。さらに今回のヒーロー的取り扱いを辞退していたなら展開は変わっていただろう。

 

このような人生の歯車を狂わせるような出来事は、誰でも一つや二つある。当方もあの事件が無ければ、今はゴム会社で半導体用高純度SiCの事業化成功者あるいは発明者として評価され、人生は現在と変わっていただろう。

 

それでは今の人生が不満足かと言えば、20年写真会社で専門外の高分子技術開発をマネージャーとして担当し、ゴム会社で考案した問題解決法で外部の賞を頂ける成果をいくつも出すことができた。不満足なのはその成果が写真会社で評価されなかったことだ。

 

デジタル化の流れの中で悔しい思いで豊川へ単身赴任し、PPSに6ナイロンを相溶させた中間転写ベルトの開発やポストコンシューマー材を用いた環境樹脂の開発など成果をあげることができ、成果を出しても早期退職を促され勇退を決心したところ最終出社日に東日本大震災が発生し、退職のその日は、送別会その他のイベントが中止になっただけでなく会社に宿泊することになった。

 

人生の歯車は狂ってばかりであった。しかし、何とかリセットし人生をそれなりの軌道に乗せることができるのは、いつまでも腐ってばかりいないで、とにかく誠実たらんと努力した結果だろう。ドラッカーはまことに良いことを教えてくれた(注)。

 

STAP細胞の騒動は彼女一人の責任ではない。学位論文の問題でも指導の段階における責任が大きい、と思われる。しかし彼女にとって厳しい状況である。ここは誠実真摯に振る舞うことで狂った人生の歯車を正常に戻す判断をした方が良い。

 

(注)ドラッカーの遺作「ネクストソサエティー」では、誰も見たことの無い世界が未来のキーワードとして出てくる。(  www.miragiken.com)では、だれも見たことが無い世界を考えるために運営を開始しました。

 

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