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2014.05/31 博士の学位

STAP細胞の騒動以降、博士の学位が必要な3つの理由などツイッターで学位の話題を目にするようになった。企業で研究開発を行い、その成果をもとに学位を取得した経験から博士の学位について述べてみたい。

 

ちなみに当方は中部大学で学位を取得し、その中心となっている研究は日本化学会化学技術賞の受賞対象となった技術で現在もその技術はゴム会社で事業として継続されている。ただし、化学技術賞の中心をなす研究を行ったにも関わらずそこに名前は載っていないが、学位と受賞理由を参照して頂ければこの賞における学位論文に書かれた研究の重要性をご理解頂けると思う。

 

まず企業活動を行う上で学位が必要かどうかという点について。少なくとも国内でサラリーマンとして活動する限りにおいて学位は不要である。理由は簡単で、今回のSTAP細胞の騒動でも表沙汰になったが、博士の学位のいい加減さである。STAP細胞では学位審査した大学と、学位を授与された側双方のいい加減さが表に出た。

 

この騒動では、論文をまともに書けない、日々の実験管理もまともにできない、実験ノートは落書き帳というとんでもない博士にたいして、他人の論文の20ページ近くもコピペしていても許し学位を授与すると言ったお粗末さが明るみに出た。

 

日本の企業人は皆日本の学位審査の実態だけでなく、そこから生み出された博士の品質のばらつきの大きいこと、そしてばらつきが大きいだけでなく、平均値が学部以下、すなわち会社で業務を遂行するときの能力が低いことも経験的に学んでいるのである。ちなみにSTAP細胞の中心人物は表に出た証拠を頼りに能力を評価すると企業では使い物にならない人材となる。

 

だから博士の採用を企業は渋るのである。博士を扱いにくい、という理由は、能力が低いからである。ここでいう能力とは潜在能力ではなく、表にでてくる実践的能力のことである。STAP細胞の騒動の中心人物は潜在能力はあるのかもしれないが、新聞情報では潜んだままで少なくとも表に出てきた能力の証拠の数々は学士レベル以下である(注)。

 

ところが海外との仕事になってくると少し事情が異なってくる。名刺交換したときに学位の有無で外人は対応が異なるのである。当方が学位を取得しようと考えた動機はそこにある。仕事のできない博士のほうが偉く扱われたからである。

 

たとえば技術開発を担当していなかったにも関わらず、パーティーなどで話題の技術について意見を求められるのは名刺に博士の学位が書かれている人物に対してである。学位の無い名刺を出した方は、いくら実力があっても軽く扱われる。同じ役職の場合に、学位で大きく扱いが異なってくる点が日本人同士の場合と異なる。

 

今技術者は国際化の流れの中で研究開発を行わなければならない。ゆえに実力のある技術者は学位を取得した方が良い、と経験上言える。一方大学に残ってまで学位を取る必要があるのかというと、学位はお花などのお稽古事と異なるので、不要である、と言える。

 

大学に残ってまで学位を取りたい場合には、自分にそれに値する能力があるかどうか、具体的には学位取得後も企業に就職できる自信があるかどうか、で判断すれば良い。学位取得後、就職先が無い、といって嘆く人は進路を間違えたのである。能力が無いのに学位を取ろうとした結果である、と考えるべきだ。本当に能力がある学生が、学位を取得している状況になれば、企業も積極的に学位取得者を採用するようになる。これは当たり前のことだ。

 

ただし、学生生活では企業の実践的な研究開発の事情が分からないので能力を発揮できていないだけだ、という言い訳が出てくるが、そのような方には弊社の研究開発必勝法を学習することをお勧めする。また、その入り口として未来技術研究部( www.miragiken.com )を立ち上げているのでそちらをごらんください。未来技術研究部では、未来技術を語りつつ技術開発について学べるようなマンガを目指している。

 

(注)ここでいう学士レベルは、理系であれば、4年終了時に論文を1報仕上げているレベルである。理研の所長もその程度を描いておられると思う。当方は学士卒業時にそこまで求められた。

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