活動報告

新着記事

カテゴリー

キーワード検索

2014.06/06 シリコーンLIMS(2)

リアクティブブレンド技術としてシリコーンLIMSを見たときに何が問題か。大きく分けて2つ原因がある、と推定している。一つは未だミラブルタイプのゴムについてその物性と高次構造の研究が不十分な点とLIMSにおける反応機構解析がゴム物性の視点から十分に成されていないことである。

 

軟質ポリウレタンフォームやポリウレタンRIMについては古くから研究されており、学会などで報告されたデータに優れた内容の論文が多い。しかし、シリコーンLIMSについてはその配合がブラックボックス化されており、公開された研究報告に学術的な内容が少ない。ましてや物性との関係については材料メーカーのカタログを信じる以外に情報は無い。

 

シリコーンLIMSの材料メーカーの戦略がシリコーンLIMSの技術的発展を遅らせている。換言すればRIMにはSが無いがLIMSとなっていることにより、末端ユーザーが価格に対して弱い立場になっている。

 

シリコーンLIMSでは御三家と呼ばれるメーカーが国内に3社存在する。トップのS社にそれを追うT社とM社である。この三者に見積もり書を出させるとS>T>Mとなる。S社の情報で得た製造条件で他の二者の材料の物性比較をするとS>T>Mという序列になるから面白い。しかし、T,Mそれぞれに製造条件を尋ね、技術レポートをもらい最適条件で評価するとS=T=Mとなる。

 

当たり前のような結果だが、実務の現場ではS社の営業マジックで基本を忘れ、うっかりと同一製造条件でT社とM社を評価するようなミスをする。S社の技術サービスはうまい、というよりもきめ細かい。だからS社の話を鵜呑みにしてT社とM社の材料を評価し、やはりS社の材料が一番良い、となる。

 

S社はサギをしているわけではない。やはりそれなりの技術を持っており、それで営業戦略を展開しているのだ、T社とM社はその点で負けてしまっている。それでは、S社がダントツに優れた技術を持っているのか、というとそうではない。ゴム技術という視点で眺めたときにまだ稚拙と感じるミスを行う。少なくとも1970年代のゴム技術で解決できていた内容を分かっていない品質問題に遭遇した。

 

シリコーンLIMSもwww.miragiken.com で扱う予定にしているが、まだ先の話である。もし質問があれば気軽に尋ねて頂きたい。シリコーンは無機高分子の代表的存在であり、当方は高分子学会無機高分子研究会の企画委員の実績もある。最近は他の講演会に忙しく研究会に参加していないが、今年は時間を作り参加したいと思っている。なお本日東工大で開催される学会  http://www.spsj.or.jp/entry/annaidetail.asp?kaisaino=943 でカオス混合の招待講演者になっている。順番では最後の講演者なのでお時間のある方は足を運んで頂けるとうれしいです。

カテゴリー : 連載 電気/電子材料 高分子

pagetop