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2014.10/10 諦めない技術開発(1)

 30年ほど前に担当した高分子の難燃化技術というテーマでは、新入社員でありながら企画が採用され商品を市場に出すことができた。しかし、最初に手がけたホスファゼン変性ポリウレタンフォームでは、市販されていないホスファゼンを使用したという理由で始末書を書くことになり、炭化促進型難燃化技術(今でいうところのイントメッセント系である)の開発はそこで中断となる危機に遭遇した。

 

この段階で、始末書という処分にショックを受け、上司に言われたまま企画を中断していたら、ホウ酸エステル変性ポリウレタンフォームや高防火性フェノール樹脂天井材は生まれなかった。さらに、このフェノール樹脂の技術開発を担当しなかったならば、フェノール樹脂とポリエチルシリケートとのリアクティブブレンドの条件を探索することができず、高純度SiCの技術開発企画など提案できなかった。

 

研究開発も人生と同様、万事塞翁が馬のごとく、身に降りかかった災難にどのように対処するかで展開が変わる。始末書の処分では、噂が広まり、同期からは激励を受け、諸先輩から様々なアドバイスを頂く機会となったので、これを幸運と捉えてみた。そして周囲の期待に応えようと始末書の内容に起死回生の一発のアイデアを書き込み、反省ではなくテーマ提案する勇気を発揮することができた。

 

この時の勇気は、ゴム会社でタイヤ以外の事業が30%程度の売り上げであり、技術開発もその比率で戦力配分されていたことからくる責任感から湧いてきた。新企画の成功により戦力が少なくても発泡体の業界でトップの技術力を獲得できることが技術調査結果から見えていた。発泡プラスチック業界は当時群雄割拠の状態で、タイヤで国内ダントツトップでも、3、4位に甘んじている状態だった。

 

発泡体の難燃化技術は他社から導入した技術が主流で、評価試験中に着火しないように変形して火から逃げ難燃化を達成するという独自開発技術に業界から疑問の声が上がり始めていた時だった。火災時にも安全なようにハロゲンを含まない高分子の炭化促進型難燃化技術は、まだどこも実現できていない技術なので始末書ぐらいで諦めることができなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

カテゴリー : 一般

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