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2015.01/01 神様

まだ喪が明けないので我が家の正月は初詣も無し。しかし新年を迎えたことで神様だけでもお迎えしたいと思ってみたが、最近はその神様、七福神も見かけない。

 

子供の頃、お正月に七福神の装束をまとった人たちが各家を周り、2-3分舞をして出てゆくという光景が見られた。そのうち七福神が5人になり、大学に入った時には一人になっていた。

 

東京に来てからは一度も見かけていない。実家は西本願寺の檀家だったが当方は特にどこかの宗派に属しているわけでもないのでこの七福神が好きだった。神様と言えばイエスキリストではなく七福神をまず思い浮かべる。

 

高純度SiCの初めての合成実験は無機材質研究所に納入された新品の電気炉で行われたが、電気炉の加熱開始から神様に実験がうまくゆくように祈っていた。頭に浮かんだのは大黒様である。突然プログラムコントローラーで制御されていた電気炉が暴走し、ぐんぐんと温度が上がり始めた。

 

1600℃で30分保持するプログラムが組まれていたのに、1800℃まで急速に温度が上がったのでびっくりして非常停止ボタンを押した。今度は温度が下がり始めたので、どうしようか、と慌てて担当のT先生に電話した。

 

せっかくの実験だからスイッチを入れて待っててください、と言われたのでスイッチを入れたら、なぜかプログラムコントローラーの制御は非常停止でスイッチが切れておらず、ヒーターの制御をはじめて程よい温度カーブを描きながら電気炉の温度を制御し始めた。

 

T先生がこられて状況を見てどこが異常なのか尋ねられた。アナログデータの記録が残されていたのでお見せしたら、確かに暴走していた、と納得してくださった。

 

ところが翌日電気炉の中をあけてびっくりした。ま黄色のSiCが合成されていたのだ。その後いろいろ実験で調べてみても、この時の温度条件が理想条件であるという結果が得られたが、電気炉の暴走原因を明らかにすることができなかった。

 

神様を信じるかどうかは科学の時代にナンセンスな議論かもしれないが、高純度SiCの特殊な加熱条件は、神様がいなければ見つからなかった、と思っている。新入社員の時の役員からのアドバイスと、この時の体験もあり、科学と、人間本来の営みの一つである技術開発の関係について考えるようになった。

カテゴリー : 一般

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