活動報告

新着記事

カテゴリー

キーワード検索

2015.04/17 科学の重要性(4)

学位論文の一章を割り当て高純度SiC合成法における反応速度論をまとめた。無機高分子を用いたケミカルプロセシングが学位論文のテーマであり、写真会社に転職後、中部大学渡邉先生にご指導いただきまとめた。

 

学位論文の内容は、有機高分子と無機高分子のプロセシングについて実例とともにまとめた内容で、高純度SiCの速度論はこの学位論文の心臓部である。もちろんコピペなどない。オリジナルの日本語で書かれた論文である。隅から隅まで主査と副査の先生方から細かい修正が入った。親身の指導で、こちらもその熱意にこたえようと努力した。

 

高純度SiCの反応速度論については、2億4千万円の先行投資を受けた時に超高温熱天秤を開発しそれを用いて解析していた。そして、そのデータについてはゴム会社から論文発表の許可も得ていた。

 

残念なことにその論文は、当方が測定した速度論データを見て、学位をすぐに出すと言われた国立大の先生が、実験に関わっていないのに筆頭になっている。その後他の先生からは奨学寄附金を請求され、学位の裏の世界を覗いたような悪い気分になり学位取得を一度あきらめた。

 

このあたりは私立W大学よりひどい話だが、恩師から紹介された中部大学では、しっかりとドイツ語の試験も審査過程であり、スリルを味わいながら気持ちよく学位を取得できた。そして盛大な学位授与式までついて、かかった費用は学位審査料8万円だけである。

 

STAP細胞の事件に見られるように、有名大学の学位の品質が良いとは限らないのだ。真理を追究する科学の論文を審査する教官の資質や人格、品性が大切だと思っている。それらを一定水準で維持している大学が品質の高い学位論文を審査できるのである。

 

高純度SiCの速度論の話に戻す。この研究は無機高分子と有機高分子を相溶させた前駆体の均一性を証明する目的と、前駆体の品質管理のために行った。前駆体のロバストの高さが多数のデータの蓄積で明らかになってから、品質管理手法としてこの方法を用いなくなったが、速度論の研究は、前駆体の均一性を証明するためと、それを活用した初期の品質管理にどうしても必要だった。

 

フェノール樹脂とポリエチルシリケートをリアクティブブレンドした前駆体高分子は透明だったので、可視光の波長以上のドメインができていないことは科学的に明らかだった。しかしそこからシリカと炭素が分子レベルで均一になっているという科学的証明は難しい問題である。

 

分子レベルで均一になっている、という科学的証明を、均一素反応の取り扱いで示すことにした。そして、速度論による解析で前駆体の均一性を証明でき、さらにSiC単結晶を製造するレイリー法改良のヒントまで得られた。これらの成果を技術としてまとめ、前駆体の品質管理の手段として利用した。

 

このように、科学では一つ真理が明らかになると、その真理を活用して新たな真理を導き出すことが可能となる。科学の重要性が叫ばれるゆえんである。

カテゴリー : 一般

pagetop