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2015.04/21 科学の重要性(8)

超高温熱天秤は、高純度SiCを品質管理するための重要な設備だった。フェノール樹脂とポリエチルシリケートを酸触媒存在下でリアクティブブレンドにより高分子前駆体を合成するのだが、反応条件により透明度が変化する。

 

すなわち、非相容系のポリマーブレンドを強引に反応させて均一にしようとしているので一部で相分離が起きているのだ。このような前駆体を用いた場合には、副生成物としてSiCウィスカーが生成したり、シリカとカーボンが残存したり、と通常のシリカ還元法と一緒の結果が得られる。

 

良好な前駆体合成条件で製造された炭化物からのみ、当時知られていなかった反応機構で反応が進行し、高純度SiCが得られる。だから、量産技術を開発するためには、前駆体の品質管理技術が必要で、どこまでの管理基準を設ければよいか決める必要があった。

 

今ならばタグチメソッドという手法が存在するが、当時タグチメソッドもどきのクラチメソッドしかなかった。クラチメソッドは機会があれば説明したいが、タグチメソッドとよく似ており、タグチメソッドの感度を頼りに開発する手法だった。

 

しかしタグチメソッドを用いても高分子前駆体の品質管理基準を決めるのは難しく思われる。当時反応機構の解明と理想的な熱重量分析のプロファイルを基準に用いる品質管理手法が最適と考えた。すなわち、品質管理手法として科学的方法をそのまま使用することにした。

 

高純度SiCを合成するために理想的な反応機構を解明できれば、その反応機構で進行している理想的なTGA曲線を決めることができるはずで、この前駆体炭化物のTGA曲線を管理すれば、工程を安定に維持できると考えた。

 

超高温TGAを用いて高分子前駆体の品質管理を続けたところ、リアクティブブレンドが、かなりロバストの高い技術であることがわかった。

カテゴリー : 一般

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