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2015.05/07 問題解決(6)

タグチメソッドではシステムの基本機能が重要と言われる。そして最初にここで躓くことになる。そもそもシステムとは何か、基本機能とは何か、という禅問答のようなループに入ってしまう。基本機能はともかく、システムという概念も機械のシステムしか考えられない人もいて、このあたりの理解を正しくすることがタグチメソッド含め問題解決の重要な入り口であるにもかかわらず、難しい問題となってしまう。

 

まず、システムとはその人の「もののみかた」という概念である。目の前の問題も含めたオブジェクトをどのようにとらえるか、そしてそのとらえた姿がシステムそのものである。ゆえにシステムを考えるときに、正解がある、と思ってはいけない。目の前のものをどのようにとらえるかは、自由なのである(注1)。すなわちオブジェクトのシステムとは自由にとらえ、自分で決めてしまって良いのである。これはあたかもキャンバスに絵を描くようなものだ。

 

絵を描く代わりに写真を撮っても良い、と表現したいが、写真の問題は、そこへ撮影者の思考を表現できるかどうかという問題が発生するので、とりあえずここでは写真は除外したい。なぜなら、絵画ならば上手下手がすぐに見てわかる。残念ながら写真はデジカメの性能が良くなりすぎたので、撮影者の意図が見えにくくなっているからだ。

 

システムを自由に決めることが可能であることから、人の数だけシステムの種類が存在することに気がつかれたと思う。すなわちシステムを考える、と言うときに一番注意しなければいけないのは、それが多種多様に存在する、あるいは提案されるということだ。同じようなシステムに見えてもどこか異なる場合も含め、人数分のシステムが考えだされる。問題というものを考えるときに、これは忘れてはいけないことである(注2)。

 

何が問題かを考えるときに、あるシステムにあてはめて、あるいはあるシステムを用いて解決を進めることになる。タグチメソッドでは、その時のシステムの基本機能を考えることがまず最初のステップとなるが、この時システムは情報の流れを見ていることに気がつけば、それは容易となる。すなわちいきなり基本機能を考えるのではなく、まずシステムの要素を考え、それらについて入力と出力の関係を整理するのが、基本機能を考える前にやるべきことである。

 

タグチメソッドに限らず多くの問題解決の説明書に、このあたりの作業が省かれている。ドラッカーが「何が問題か」をまず最初に問うことにしている、と述べていたのは、「何が問題か」と考えることの要求であるが、その要求の中には、システムを考えること、そしてシステムの構造を整理することなども含まれている。

 

(注1)但しコツがあります。弊社にご相談ください。

(注2)わかりやすく言えば、たとえ言葉で明確に問題が表現されたとしても個人によりビミョーにとらえ方が違っている、ということだ。科学におけるシステムでは、これが明確に決まってくるが、ヒューマンプロセスでは、これが不明確になっていることを前提にしている。実はビジネスプロセスは、完璧な科学のシステムで動いているわけではない。企業における研究開発も同様である。だから完璧な科学のシステムで仕事をやっている人が、企業では宇宙人に見えたりする。STAP細胞の騒動は、未熟な研究者によるヒューマンプロセスが理研のシステムを狂わせた、という見方もできる。

カテゴリー : 一般

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