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2015.05/08 問題解決(7)

ビジネスプロセスは、完璧な科学のシステムで動いているわけではないので、そこで発生する問題を科学的に解決しようという試みには最初から無理がある。企業における研究開発の問題ですら同様である。40年近く前に研究所ブームがあり、アカデミア同様の研究所が大手企業で作られたが、これがビジネスプロセスに不適合であったことを思い出して欲しい。

 

すなわち、今ビジネスプロセスで発生する数々の問題は、研究開発の現場の問題も含め、すべてヒューマンプロセス思考を併用して問題解決に当たるのが時代の流れに適合した方法である。ノーベル賞ですらヒューマンプロセスによる手法で受賞しているのである。ビジネスプロセスにおける科学的問題解決法というのが、いかに時代遅れの手法であるのか気がついて欲しい。

 

また、これは会社経営をやってみて気がついたことだが、収益というものの曖昧さである。弊社は設立以来赤字を垂れ流しているが、何とか倒産せずに経営が続いている。そして見方によっては収益が増えている状態になっている。これは、収益というものが会計基準により変化するからである。すなわち、収益が、経営のシステムのとらえ方で変わるということだ。

 

累積赤字で一時目の前が真っ暗になったが、会計を勉強し、希望が見えてきた(しかし赤字が減ったわけではない)。設立時に電子出版や特許出願を行い、多数の出費をしたが、それらが少しずつ芽をだしつつある。高純度SiCの事業化では6年間死の谷を歩いた経験があり、6年間は黒字にならなくても精神的に耐えられる訓練を厳しいゴム会社でさせていただいたが、これは貴重な体験だった。

 

少し話がずれたが、収益の定義が会計基準により変わるというのは、ビジネスシステムで発生する問題の本質をわかりやすく示している。すなわち現金という実体を使わなければ、収益を具体的に定めることができないように、システムの中に「実体の無い事象」が潜んでいると問題の理解そのものが難しくなる。このあたりは、コンピュータプログラミングのオブジェクト指向をかじったことのある人にはわかりやすいかもしれない。

 

当方も30年ほど前Cに取り組みその後C++でプログラミングをするようになり、ボーランド社が無くなってからは、C#を使うようになった。この経験から、このような説明をしている。平たく言えば、単に収益と表現しただけでは、現金がどうなっているかはわからないが、現金の流れを定義づけてやると、収益がその定義づけられたシステムにおいて実体として見えてくる、ということだ。

 

これはオブジェクト指向プログラミングでクラスを記述しただけでは実体が生成していないこと、そして実体が生成していないクラスを間違えて使用してバグを発生させる過程とよく似ている。

 

問題解決を行うときに、理解した、あるいはメンバーとその内容が共有化された、と勘違いし、実体が明確になっていない状態が原因で隘路にはいることがあるが、それはビジネスプロセスにおけるバグのようなものだ。まずそれを取り除く、あるいは是正する作業が必要になる。問題解決において、実体が機能しているシステムを解析するのは容易であるが、実体が不明確のまま問題解決に当たろうとするとうまくゆかない。

カテゴリー : 一般

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