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2015.06/06 私のドラッカー(5)

落合GMに戦力外と通告された二人の選手が原監督の下で大活躍している。これは同じシステムでリーダーの違いによりメンバーの成果が変わることを示しているビジネスにおいてもよくある事例だ。但し野球のシステムは、ビジネスのシステムよりも単純で成果の尺度も明確なので原因もわかりやすい。

 

堂上選手や吉川選手にとって成果を出すためには、野球のチームという組織が必要だ。すなわち中日ドラゴンズは成果を出すための彼らの手段だったのが、落合GMにそれを取り上げられ、新たに原監督から類似システムを手段として提供され、成果を出している。

 

落合GMも原監督もリーダーシップで実績のある一流の野球人である。それぞれのキャラクターの違いもあるが、今シーズンの堂上選手や吉川選手を見ていると、個人が意識を変え「ひたむきに組織に貢献すること」の重要性が見えてくる。彼らの活躍について原監督に育てられている、と表現している新聞もあるが、一年も経たず活躍できるのは「個人の意識変革の効果」が大きいのだろう。

 

原監督に育てられた、と言うよりも、落合GMの非情な資本の論理による組織追いだし効果が大きいと思っている。そして彼らは落合GMを恨むのではなく、一度生活の手段を失った恐怖をひたむきな貢献という形に変えてプレーしていると思われる(注)。

 

スーパープレーを見せた吉川選手にしても堂上選手にしてもスキルに問題が多かった選手である。これはリーダーとして言ってはいけない発言と思ったので記憶に残っているが、落合GMは、かつて対談で「野球の下手な選手はいらない」というような発言をしていた。

 

しかし、プロ野球の選手は一応一定レベル以上の選手であり、どのようなチームでも成果を出せる能力があるはずだ。それが同一システムの組織の違いで大きく影響を受けるのは、一人ひとりが成果の必要性をよく理解していないことが一因としてある。すなわち成果に対する考え方や意識が重要である。彼らを見ていると、組織の意味が見えてくる。

 

「断絶の時代」(1968)P.F.ドラッカー(上田惇生訳)より
[一人ひとりの人間が成果を上げることは組織にとって必要なだけではない。働く人間一人ひとりにとって必要である。なぜなら組織は、社会が必要とするものを生み出す手段であると同時に、組織に働く人たちにとっての手段だからである。]

 

「企業といえども従業員のために存在するのではない。成果は組織の外にあり、従業員の同意、納得、態度に影響されるだけである。」

 
(注)これはインタビューをみた当方の思い入れかもしれないが、彼らの笑顔は野球ができることの喜びであって、追い出された恨みを感じさせない。人間だからつらい原因を作った人に対する恨みは残るかもしれないが、恨みだけで毎日を過ごしていると、不思議なことに、ますます悪い方に転がってゆくものである。組織で働くコツは、「笑顔で成果」である。

カテゴリー : 一般

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