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2015.06/22 私のドラッカー(13)

教育システムにおいて科学が唯一の知識として標準化されているので、どこへ行っても技術者は、仕事に関連する情報を読み科学的な成果を出すことができる。ドラッカーは、「創造する経営者」(1964)の中で、「ほかの者と同じ能力を持つだけでは、十分ではない。そのような能力では、事業の成功に不可欠な市場におけるリーダーの地位を手に入れることができない。」と、差別化の重要性を指摘している。

 

これを技術者に限定すると、科学の時代において科学の知識だけを持った技術者は、今国際競争力の有無が問われている。語学力は常識となるが、意外にも技術者の「技術」について、技術者自身が国際競争力をつける方法を知らない。また、学べる場所について多くはない。本屋に行っても技術について書かれた本は少なく、町の本屋では揃えていないところもある。

 

弊社ではヒューマンプロセスによる問題解決法プログラムを提供しているが、これは非科学的な内容も含む「技術者」向けの教材である。依頼された企業の実情に合わせ教材を作成している。なぜそのような面倒な作業を行うのか、それは「技術」の教材だからである。

 

先のドラッカーの著書に、「成功している企業には、常に、少なくとも一つは際だった知識がある。そして全く同じ知識をもつ企業は存在しない。」とある。

 

これは面白い指摘である。真理は一つという科学の時代にあって、成功している企業には、科学と異なる知識が存在する、と言っているような指摘である。もし今日の日本のメーカーが科学知識だけで成功してきたとしたのなら、現在停滞している企業は差別化できなくなっているからで、ドラッカーが指摘しているように当たり前のことではないか。

 

一方、現在でも成功している企業は、科学知識以外の知識で差別化ができているからではないか。そしてその差別化するための知識は、世の中で知られていない高度な科学知識か、あるいは非科学的知識のいずれかである。教科書に書かれている科学の知識で説明できるノウハウはもはや差別化技術にはならない時代で、非科学的なノウハウを作り込んでゆかなければ差別化が難しい時代である。

 

カテゴリー : 一般

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