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2015.06/30 熱伝導性樹脂

高分子は絶縁体であるとともに熱を伝えにくい材料でもある。ゆえに高分子を熱の良導体にするには、半導体高分子の設計と類似しているが、微粒子を分散することになる。

 

面白いのはパーコレーション転移と同様の現象が現れることである。しかし、半導体材料を設計するときとその現象の様子は少し異なる。エレクトロンとフォノンでは性質が異なるためだが、これも教科書にうまく説明されていない。

 

具体的な現象として、高分子に電気抵抗が低い微粒子を分散すれば、その導電性に応じて、微粒子分散系高分子材料の抵抗が下がる。しかし、熱伝導性樹脂の場合には、いくら熱伝導性が低い粒子を添加しても、その微粒子の熱伝導性に見合うほど樹脂の熱伝導率が下がらないのだ。

 

この現象に初めて接するとパーコレーションのいたずらか、と考えてしまう。しかしそれだけではない。電子伝導はトンネル効果のおかげで微粒子が多少離れていても起きるが、伝熱では微粒子の不連続点で極端に伝わりにくくなるのだ。

 

その結果、熱伝導率が異なる微粒子を集めてきて添加量と熱伝導率の関係をプロットすると、皆同じ曲線にのってしまう。ゆえに効率よく熱伝導樹脂を設計したいなら、科学的に考えるよりも技術的に考えた方が良いアイデアが出てくる。実際に特許なども公開されており、この分野の特許は読んでいると少し面白い。

 

 

カテゴリー : 電気/電子材料 高分子

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