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2015.10/03 技術者魂

ドラッカーの言葉を借りれば、現代は知識労働者の時代である。昔ながらの職人も今や知識無しではその仕事もできない時代になった。その結果、技術者と職人の境界が不明確になってきた、と言う人がいるが、職人に「気質」があるように、技術者には技術者魂がある。MOT(技術マネジメント)をうまくやるには、やはり技術者魂を持った人がリーダーになるべきである。
 
それでは技術者魂とは何か。科学が新しい真理を見いだすのが使命のように、技術にもその使命があり、それは新しい機能を社会に生み出すことである。だから技術者魂とは、常に新しい機能を生み出し社会に貢献しようと努力し続ける気概となる。
 
昨日技術者は全員が企画マン、と表現したのはそのためである。フォルクスワーゲンの不正事件について日々新しい情報が報じられているが、2007年にボッシュ社は不正プログラムを提供するときに、使用すると法に触れるとの通達を明確に文書で行ったという。すなわち不正プログラムはフォルクスワーゲン社内で開発されたのではなく、ボッシュが部品評価のために作成したものだった。
 
ボッシュ社からそのプログラムを受けとったフォルクスワーゲン社の技術者はその時何を考えたのだろう。不正プログラムで機能を追加することも一つの技術である。但し、それは社会貢献できない技術である。技術者魂が無かったのだろう、と想像している。
 
STAP細胞事件でコピペなどの不正が問題になり、科学者の倫理を社会は知ることになった。但し科学の世界でコピペが行われるようになったのは最近のことではない。学生時代に購入した教科書の10ページ近くが学術書に特集が組まれた総説の丸写しの日本語バージョンだったことにびっくりしたことがある。
 
某教授に話したら、君はよく勉強しているね、と褒められただけで、引用文献が書かれていなかったことなど悪びれていなかった。英文であればコピペになるが、その日本語訳は???。科学分野の研究者でもいろいろな方がおられる。技術者にも様々な価値感の技術者がいてもいいが、当方は若い技術者に技術者魂を持って仕事に向き合って欲しいと思っている。
  

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