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2015.10/20 高分子の難燃化技術(2)

PPSやザイロンなど特殊なエンジニアリングプラスチック以外の大半の有機高分子は可燃性である。例えばPETやPBTなどのポリエステルはLOIは19前後なので空気中でよく燃える。多くのポリエーテル系軟質ポリウレタンはLOIが18.5程度で、ポリエステルよりもよく燃える。そしてこれらの材料は比較的難燃化しにくい高分子でもある。
 
高分子の難燃剤として、一種類だけ用いて効果があるのは、ハロゲン系化合物とリン系化合物だけである。しかし、この一種類で難燃化できる高分子は限られ、大半の高分子は、これらの化合物と他の化合物を組み合わせて難燃化しなければならない。
 
例えば、ハロゲン系化合物と三酸化アンチモンの組み合わせは有名で、特に臭素系化合物と三酸化アンチモンの組み合わせは最強であり、どのような高分子でも難燃化できてしまう。1990年代には大変多くの臭素系化合物が開発された。しかし、21世紀になり環境問題が騒がれるようになると、ノンハロゲン系難燃剤が技術のトレンドになってきた。
 
特に樹脂のリサイクルを考えると、熱分解しにくい難燃化システムが求められる。そこで新たな難燃化システムの開発競争が盛んになってきたが、その技術の中心はリン系化合物を中心とした組み合わせ技術である。
 
リン系化合物と他の化合物との組み合わせシステムについて、30年以上前に当方は燃焼時の熱でガラスを生成するシステムを開発し、ポリウレタンに実装して難燃性ポリウレタンの開発に成功した。この成功後高分子の難燃化をさらに研究したかったが、高純度SiCの事業化へテーマが変わったので中断していた。
 
カオス混合技術は指導社員から頂いた宿題であったが、この高分子難燃化技術は自ら生み出した宿題で、その宿題を完成できる機会を待っていたら、昨年から立て続けに高分子の難燃化技術の相談を受け、リン系化合物を中心とした組み合わせ技術について一つの解答が得られた。
     

カテゴリー : 高分子

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