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2015.11/12 資生堂ショック(1)

9日にNHKで報道された資生堂の美容部員に関する報道が、話題になっている。報道の内容は、資生堂の売り上げが落ちてきたので、短時間勤務の美容部員にもフルタイムの社員と同様に勤務シフトについてもらうという、時代に逆行するものだった。
 
女性の働き方について、 現在、多くの企業が出産後に職場復帰した女性社員を支援する制度を導入している。そして、育児休暇や短時間勤務などをいち早く導入してきたのが、大手化粧品メーカーの資生堂だった。
 
ところが資生堂は去年(2014年)4月、こうした制度について大きな方針転換を打ち出した。子育て中の女性社員にも平等なシフトやノルマを与えるという方針だ。その内容に、世間で驚き、 “資生堂ショック”、と言われるようになった。
 
かつて、某メーカーの社員の意識改革を目指した配置転換が、人員削減施策と誤解され騒動になり、会社はやむなく配置転換を見直すに至ったが、これも同様の社員の意識改革の一環であり、何も驚く内容ではない。幸い、資生堂では社員に会社の方針が正しく理解され、美しく展開されているようだ。
 
本来この騒動ではマスコミがつけた呼称もおかしかったのであり、知識労働者を前提としたマネジメントに対する理解が進んでいない、知識労働者のわがままである。追い出し部屋問題では、専門知識が要求される職場から、専門知識が無いと評価された社員が他の職場で再起してもらうために人事異動した(注)のであり、社員のことを考えた会社のまともな経営手段である。
 
資生堂では、逆に専門知識を持った労働者不足が原因で売り上げが落ちたために、短時間勤務にシフトしていた美容部員の一部を通常シフトに戻したのである。某電子写真会社とは少し状況が異なっていたので、意識改革と言う会社の方針が理解されやすかったのかも知れない(続く)。
 
(注)ゴム会社では高純度SiC(日本化学会化学技術賞受賞)はじめセラミックス材料の開発を主に担当していたが、写真会社へは、高分子部門の管理職が必要と言う理由で、ヘッドハンティングの会社経由で40名程度の高分子材料開発センターへ転職した。写真会社では、バブル崩壊後このセンターをリストラし感材技術研究所へ組織を吸収、その後もリストラが続き気がついたら、自分がリーダーになっていた。そして、酸化スズゾルを用いたフィルムの帯電防止技術(日科協から技術特別賞受賞)やゾルをミセルに用いたラテックス合成技術とそれを応用した高靱性ゼラチン開発(写真学会からゼラチン賞受賞)、変異原性物質を除去したPET表面処理技術、新規アニール技術を用いたPENのまき癖解消その他等成果を出したが、2003年には倉庫として利用していた部屋へ異動(この時さすがに腐りました。この時の思いはいつか書きたい)になった。運よくカメラ会社との統合があったので、その会社の研究部門があった豊川へ単身赴任した。そこでPPS中間転写ベルトの開発やリサイクルPETを用いた難燃性樹脂など開発し、早期退職者制度を用いて2011年3月11日に退職した。知識労働者の時代には、知識で成果を出すことが求められている。労働者にどのような知識があるのか考え、効率的な知識の活用を考える知識がマネジメントであるが、すぐれた経営者がいないと感じたら、労働者側で行動しなければ成果を出せない。その時の行動の基準はいかにして貢献できるか、という点である。そのように行動しても、経営者がだめな会社の場合には報われない場合もある。しかし、成果を出せば、少なくとも社会への貢献はできている。社会への貢献こそが大切なのである。知識労働者は、社会への貢献と言うベクトルでは経営者と対等である。故ドラッカーの考え方で活動し、報われるのかどうかは、いつか答えが出る、と信じ活動している。
 
 
 
 
 

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