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2015.11/20 酸化スズと技術者(2)

写真フィルムの帯電防止には透明材料が必要になる。導電性を有する酸化スズは、着色が薄いので、その候補材料になる。今は廃業したアメリカの大手写真会社は、20世紀末特許回避のため導電性の五酸化バナジウムウィスカーを帯電防止剤として使用していた。
 
日本の写真会社では同じ頃、酸化スズに関する膨大な量の特許を出願していた会社はやや青みがかったSbドープの酸化スズ結晶を用い、そのライバル会社は、イオン導電性高分子を帯電防止剤に用いていた。
 
イオン導電性高分子は、湿度依存性や現像処理後に導電性が劣化する問題を有していたが、それらを技術的に回避する方法で実用化していた。技術的には、同等機能を実現していたので同等性能だった。ただし、プロセス上のある問題をこの技術は抱えていた。
 
その問題を克服するために、特公昭35-6616特許を中心にした技術開発をはじめた。すなわち公知技術の範囲内で技術を開発すれば、ライバル特許に抵触しない技術を作り出すことができる(注)。
 
ライバル特許群によれば、特公昭35-6616に記載された酸化スズには導電性が無いことになっていた。しかし、実施例のデータから推定される酸化スズの導電性は1000Ω以下であることがうかがわれた。
 
ただ実施例を実験で行うとうまく実施例のデータを再現できない。この特許を捏造データによるペテントと捉えるのか、隠れたノウハウが存在すると捉えるのかは、難しい判断となる。
 
(注)特許の視点からは、この考え方は危険で、例えば組み合わせ特許を成立させて、相手の権利範囲を使えないようにすることが可能である。また科学的に不確実な場合にはインチキ特許で同じことが可能になる。転職した時の最初の仕事はライバル特許の整理だった。この仕事は、高純度SiCの技術開発を行った時の最初の上司が知財部長を経験された方だったので、十分なトレーニング機会をゴム会社で体験しており、証拠探しも含め楽な仕事だった。
   

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