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2015.11/22 真摯に成果にこだわる

プレミア12の日韓戦は後味の悪い試合だった。好投していた大谷選手を球数も問題なかったのに、なぜ交代したのか。おそらく監督は本当の理由を言わないだろうが、その後の選手の起用を見て、おおよそその心中を推し量ることができた。
 
しかし、日本中のファンが期待していた勝てそうな試合だったのである。長いシーズン中の1試合ではないのである。勝ちにこだわることこそ大切なことだった。あの場面では、チームとしての勝利にこだわってこそ、真のリーダーである。昨日コールド勝ちできるような実力がありながら、また、今年優勝できるチャンスは十分あったのに、と思いながら悔しさのあまり同じようなことを書き始めてしまった。
 
ビジネスにおける類似の状況を昨日紹介したが、会社により人材の育て方は異なる。故ドラッカーは人材育成について、誠実で真摯な人材を選ぶことの重要性を述べている。ゆえに人材評価がうまく運営されるかどうかについては、誠実で真摯な評価者が多数いるかどうかできまる。
 
人事評価のシーンで時折おかしな状況を体験したり評価者の立場で見たりしてきた。例えばAさんが貢献して出した成果であるにもかかわらず、組織の都合でBさんを昇進させたいという理由でその成果をBさんの成果として評価しているケースがある。
 
これは、ゴム会社で担当者の立場で明らかに歪んだ評価を付けられた事例。3人で1チームとなり、ある商品を開発していたが、一人が長期休暇した。その間に二人は、計画を見直し、その一人がいなくても納期を守れるように仕事を遂行し成果を出した。その後長期休暇していた人物が出社した。この人物は、テーマの企画をしたわけでもなければ、休みに入るときの引き継ぎもやらず、2人に尻拭いのような仕事を残していたりと、まったく組織貢献していなかった。
 
ところがボーナス査定を見て驚いた。当方の給与明細書の数字は、査定がついていないどころかマイナス査定だったのである(注1)。一緒に苦労した他の一人も同様だった。さすがにおかしいと言うことで、同じ職場の課長補佐に相当する方に相談(注2)したら、おかしな評価であるが、長期休んでいた人を昇進させるために課長はその人に高い査定を付けたかったのだろう、と解説してくれた。
 
すなわち課の原資は決まっていたので、特定のメンバーに高い査定を付けるときにはマイナス査定を誰かに付けなくてはいけない仕組みになっていた。長期休暇をしていた人の貢献を明確にするために、サービス残業までしてがんばった二人を犠牲にしたのである。
 
このゴム会社の担当者の立場で経験した人事評価は、その後のサラリーマン生活に大きく影響した。すなわち職務評価に振り回されることなく、自己実現に努め成果を必ず出すことにこだわる仕事の進め方になったのだ。その後ゴム会社の某人事部長から研修中の酒の席で、「君は人間リトマス試験紙だ」と言われた。当方の評価で上司である管理職を評価できたからだそうだ。
 
(注1)成果給の意味があるボーナスの配分表を公開している企業は多い。そしてその配分表から自己の評価を知ることができる仕組みになっている。すなわち、仕事の評価を会社が伝達することにより、その努力に報いたことを伝えるためだ。このようなシステムでは、誠実な評価をしない場合には逆効果となる。また社員どおし給与情報などをこっそり見せ合うことも行われる場合もあるので、評価者は誠実さが重要になる。
(注2)仕事の評価に不服な場合に評価者に直接相談してもダメである。第三者で状況を理解している人に客観的な理由を聞いて納得すること。客観的な説明が例え不条理であっても知識労働者は納得しなければいけないのである。知識労働者が成果を出すためには組織が必要であり、納得しない、ということは、その組織を認めないことにつながる。被害者の立場で転職してみて、組織と知識労働者の関係について、まさに故ドラッカーが指摘していたとおり、と痛感した。組織が変われば、新たな知識を獲得しない限り、知識労働者は成果を出せなくなるのだ。貢献と自己実現のために必要な組織はその目的のために大切にしなければいけない。しかし、誠実さと真摯さがないがしろにされるような組織あるいは組織風土ならば改善する必要があり、難しい問題が生じる。

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