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2016.02/11 21世紀の開発プロセス(21)

中間転写ベルトの開発では、外部からコンパウンドを購入して開発が進められていた。コンパウンドは高価格だったので、試作に失敗した材料は捨てずに、成形条件検討用に再利用していた。ただ、再生材で検討された成形条件が、新しいコンパウンドでは再現しない問題があり、押出成形の開発は一進一退を繰り返していた。
 
赴任したときに奇妙に感じたのはこの点で、担当者に尋ねたところ単なるコンパウンドのばらつきだろうという回答が返ってきた。当方はコンパウンドのカオス混合プロセスをどのように実現するのか考えていたので、押出金型のリップ部に着目した。担当者に指示し、新しいコンパウンドをベルト成形が難しい押出機の最大吐出能力で押し出してみた。そしてその材料でベルトを製造してみたところ、抵抗偏差の小さいベルトができた。
 
不思議なことにボツも少なくなっていた。そのベルトを見た瞬間カオス混合のアイデアが閃いた。すぐにコンパウンド会社にアイデアを実行させようとしたところ、「素人はダマットレ」と技術サービス担当者からアイデアを一喝、否定された。
 
また、部下の二人のマネージャーからも科学的根拠が無いという理由で、アイデアの評判は良くなかった。研究開発必勝法で考案したシナリオを発動すべき時が来た、と決断し、若手1名と現場で評判の悪かった作業者1名を組ませてコンパウンド開発チームを作り、コンパウンド工場建設に向けて活動し始めた。
 
当方の権限や業務はすべて、マネージャーBに任せ、当方もコンパウンド開発チームの一員として活動を始めた。すなわち、従来の管理職としての業務はすべてマネージャーBに任せ、3人でコンパウンド工場建設のための準備を開始したのである。時間と予算が無いので、設備は中古で揃えることにしたが、一番問題になったのは、その年の予算外の予算となることで、その獲得のために、まがりなりにも投資により成功するという科学的な説明が必要だった。
 

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