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2016.02/26 企画を実現する(7)

企画書に盛り込むべき事項は、企画の題名、企画テーマ(主題)、企画の狙い、全社方針あるいは会社目標との関係、現状把握、将来予測、問題形成、目標、企画実現方法、代替案、企画が実現したときの効果、おおよそのスケジュールなどである。
 
まず、企画の題名は、分かりやすいものにすること。そして企画テーマが、その題名から誰でも想起できるようであるとよい。ゴム会社で募集された50周年記念論文の審査では、当方の企画「有機高分子から高純度セラミックスを創る」は佳作にもならなかったが、「トン牛」というタイトルの企画は主席となった。バイオテクノロジーにより豚と牛の掛け合わせで繁殖力があり、味もうまい肉牛を研究するという内容であった(記憶違いかもしれないが、このような荒唐無稽の話だった)。
 
あのW大学の先生が審査委員だったが、企画タイトルの重要性を思い知った出来事である。もちろんこんな企画は研究所でまともに取り上げるわけもなく、この論文募集は単なるお祭り騒ぎで終わったが、外部有識者と言われる人のいい加減さに呆れた出来事でもあった。
 
ちなみに佳作にも入らなかった当方の企画は、その後紆余曲折もあり研究開発企画として社長決裁が下りて2億4千万円の先行投資を受け事業として現在まで続いている。50周年記念論文の審査に落ちた(注)ことで燃えたことも、わずかながら企画推進に影響している。
 
話が脱線したが、この例のようにタイトルは極めて重要である。次に企画テーマは、主題を的確かつ簡潔に表現できていなければならない。しかも誰が読んでもわかりやすく書かれていなければいけないので難しい。この部分と企画の狙いで企画書の価値が決まると言ってもいい。
 
企画の狙いでは、何故この企画が必要なのか書くことになるが、長く書いてはいけない。企画が必要な理由を箇条書きで、簡潔に表現する必要がある。タイトル、テーマ、狙いの3つで企画の詳細をどれだけ真剣に読んでもらえるのかが決まるので、この部分は企画を作成しているときに、毎日読み返しながら、よく練る必要がある。
 
関係者にヒアリングするときに書き上げた内容を吟味してもらうのも良い方法である。但し、この時気をつけないと同じ会社内でも他人に企画をとられることもある。そのために会社の風土をよく知っておくことが重要で、最初のヒアリングでは、本当に信頼できる人にとどめるのが良い。
 
企画はコンセプトが重要であるが、同じコンセプトで表現を変えた企画をいくつでも作ることが特許同様に可能である。新しいコンセプトの企画は少なからずインパクトがあり、イノベーションの機会を伺う研究者が多く活性の高い職場では類似のコンセプトで新たな企画を考案する人は出てくる。
 
(注)係長職昇進のための筆記試験問題で、「あなたが推進したい新事業について書いてください」という出題があり、高純度SiCの企画について書いたら、やはり落ちた。採点した試験官は、研究所の課長だったが、その1ケ月後社長によばれ、企画のプレゼンテーションを行ったら2億四千万円の決済が決まり、開発がスタートしている。翌年の試験でも同じ内容を書いたら昇進試験に合格したが、当方の企画に対して研究所で強い反対があったことを知った出来事である。30年以上前の古い出来事だが、企画を実現するには、自己責任と強い意志が必要である。また、ゴム会社における高純度SiCの事業のように、企画段階で反対者が多くても30年以上(社長決済を受けたのは29歳の時である)続いている企画もある。科学者の評価と経営者の評価では視点が異なるのでこのようなことが生じる。21世紀の企業では、このようなことがあってはだめ、と願いつつこの欄を書いている。企業の研究開発に携わる人は、科学者ではなく科学の時代の技術者であるべきである。また、ゴム会社は創業経営者ではなかったが、夢とロマンを共有でき素早い意思決定のできる優れた経営者だった。
 

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