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2016.03/20 文化の融合

オリエンタルラジオのダンスユニットによる「パーフェクトヒューマン」という歌が話題になっている。先週ミュージックステーションでトリとして歌われたこともあって今週この話題がネットに多かった。
 
面白いのはなぜこの歌がヒットしたのかを解説している記事である。そしてそれらの記事によれば、お笑いと歌との垣根を無くした革新的なところだそうだ。どこが革新的なのかはそれぞれの記事を読んでいただきたいが、記事を読んでいて気がついたのは、文化の融合でも材料の相変化と似ていて、例えば界面の存在とかそれが無くなったときなどに新しさが生まれる点である。
 
音楽の世界でクロスオーバーとかフュージョンと言う言葉で「異分野の融合」が話題となったのは1970年代からで、ジャズとロック、あるいはジャズとポップスなど様々な分野の融合が行われ、現在に至っている。
 
かつては音楽状況そのままを番組名にした「クロスオーバーイレブン」というFM放送も存在した。その番組では、グローバーワシントンJr.やジョーサンプルと行った面々の、まさに異分野の融合した新しいヒット曲が演奏されていた。こうした50年近くにわたる異分野の融合が重なりカオス的な音楽が最近のヒットの傾向としてあるような気がしている。
 
材料の世界でもそうだが、単一材料で様々な要求品質に対応できなくて合金とかポリマーアロイとかブレンドされた材料が生まれ技術開発の幅が広がった。ゴムの世界では100年以上前から混ぜることが技術の根幹にあった。
 
このような融合により新しい物を産み出す努力は文化よりも技術の世界が古いのかと思っていたら、友人からそれぞれの民族音楽が融合して現在の音楽のジャンルが形成された話を聞かされ、「混ぜて新しい物を産み出す」技術は、人間が昔から心がけてきた自然の行為のようだ。
 
高分子のスピノーダル分解は二成分のポリマーが相容した状態から濃度のゆらぎが生じ、相分離してゆく過程だが、文化についても一度融合が起こり、それがまた分離してゆく過程において新しい芸能が誕生するのかもしれない。
 
しかし、歌って踊るオリラジが新鮮と思っている若い人は一度三河万歳を見て欲しい。演奏しながら歌って踊る巧みなキレを作らないその芸は、一つの文化として完成されていると思う。三河万歳が家に来るとその一年は幸せになりそうな気がした。しかしその風習は今や消滅し、お正月の風景も様変わりした。今年のお正月は、年末との界面が無くなり、それと気がつかないままに過ぎ去った。梅の香りに刺激され散歩をしてみたら、もう桜の咲く季節である。
 

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