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2016.04/04 科学で未解明の現象から機能を取り出す(続き)

必要とする機能について、自然現象として起きることが分かれば、科学的に未解明でも自然現象から機能を取り出すことが可能である。例えば試行錯誤で機能を人工的に再現してみて機能を動作させる方法を見つけることが出来る。
 
あるいは、過去の経験から考えられる方法について全部試してみて機能を動作させることができるか見れば良い。経験から考えられる方法が、科学的に見てすべての方法を取り上げているならば、消去法という手段が有効である。
 
とにかく不完全でも科学的にはそのメカニズムは不明でも動作する機能が見つかったならば、あとはタグチメソッドでそれを最適化してロバストの高い機能にできる。
 
すなわち科学的に未解明な機能でも、その手がかりが見いだされれば人類は活用することが可能で、科学誕生以前の人類は皆そのようにして技術開発を進めてきた。
 
ところが1970年代の研究所ブーム以来企業では科学以外の方法を禁じ手として封印し、科学的に技術開発を進めることに注力してきた。ここで、科学的に技術開発を進めることは間違っていないが、科学的以外の方法を禁じ手にしたのは技術開発の可能性を自ら捨てたようなものだ。
 
当方は、新入社員の研修でS専務に技術の意味を教えられカルチャーショックを受けた。現場現物主義で時には科学的データさえ信じないような意味を込めた説教は、大学で6年科学を学んできた若者には刺激的な説教だった。
 
しかし、そのおかげで「マッハ力学史」や「技術者の心眼」などの著書に目を向けることができ、技術について真摯に考えることが出来た。但し、配属された研究所はアカデミアよりも科学一色であり、たまたま巡り会った優秀な指導社員が斜に構えた人でなかったならば、今日まで技術というものを考え続けることが出来なかったろう。

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