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2016.08/12 カップリング剤のブリードアウト問題

高分子材料に機能性を与えるために機能性フィラーを添加するが、そのときフィラーの分散を促進するためにフィラーの表面処理を行うとよい、と教科書には書かれている。
 
教科書は間違いではない。ただ、それは技術として一つの手段である。しかし、それですべての問題を解決できるかのように書いてある教科書があるので問題だ。さらにこれも技術の一つに過ぎないのだが、表面処理方法としてカップリング剤を推奨している。
 
フィラーの分散に初めて取り組んだ人にこのような説明は誤解を招く。実際にあるカップリング剤セミナーで講師の一人として招待されたが、主催者側の希望はカップリング剤以外の話だった。他の講師の方々は皆カップリング剤の話をされて、当方一人が異なる技術の話をする違和感があった。
 
カップリング剤の技術はうまく使いこなせばそれなりの結果が得られ、科学的にも説明がしやすい。特に企業の研究所でメカニズムの説明を行わなければいけないときに、カップリング剤という技術手段は漫画を書くことができるので便利である。
 
ゴム会社でフィラーの分散をカップリング剤技術で解決したプレゼンテーションを聞いたときに、「かっこいい」と感じた。しかしその半年後、製品を出して間もないときにブリードアウトの品質問題で担当者は頭を抱えていた。
 
科学でかっこよく説明できても市場の品質は技術に対して厳しい評価を出す。この時カップリング剤の量を減量してのりきったようだが、プレゼンテーションでは添加量はフィラーの表面積に適合する量が添加されていることになっていた。
 
カップリング剤の添加量については少なめに用いるのがノウハウのようである。多く用いれば未反応のカップリング剤がブリードアウトするという現象は、科学的にも理解しやすい。この理論計算通りの添加量でうまくいかない経験は、フィラーの分散を行う新たな技術のヒントにつながる。
 
写真会社でバインダー技術を担当したときにカップリング剤には注意するように先輩社員から言われた。すなわち、カップリング剤の多くが乳剤成分とも反応し、写真の品質を劣化させるからだそうだ。
 
このような世界では自ずとカップリング剤以外のフィラー分散技術というものが育つ。写真会社に転職して学んだノウハウだが、ゴム会社の指導社員は単刀直入にカップリング剤はアイデアが無いときに使え、と教えてくれた。だから、ゴム会社ではフィラーの分散にカップリング剤を使う機会は無かった。すべてカップリング剤以外のフィラー分散技術を用いた。
 
下記講演会では、高分子へフィラーを分散する技術手段についてカップリング剤も含めて解説する。フィラーの分散で悩んでいる方は今からでも弊社へ問い合わせて欲しい。
 

1.機能性高分子におけるフィラーの分散制御技術と処方設計

(1)日時 8月25日  13時-16時30分まで

(2)場所:高橋ビルヂング(東宝土地(株)) 会議室 (東京都千代田区神田神保町3-2)

(3)参加費:43,200円
 

カテゴリー : 学会講習会情報

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