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2016.12/18 専門とは、研究とは(5)

SiC合成に関する反応速度論の研究が会社で認められたのは、その成果を用いてフェノール樹脂とポリエチルシリケートから製造されたSiC前駆体の品質管理ができたからである。

 

SiC前駆体については、見かけ上は繰り返し再現性の高い生成物であったが、何ができているのかよく分かっていなかった。電子顕微鏡写真から分子レベルで均一になっている状態の確認はできていたが、それがどのように反応に寄与しているのかは不明だった。

 

だから品質管理もどのように進めたら良いのか不明で、パイロットプラント運転前に不安があった。この速度論研究のために開発した新設計の熱天秤を用いると前駆体の品質を重量減少曲線で管理できる。

 

ただし、どのような重量減少曲線が理想なのかは、研究してみないと分からなかった。その結果、アブラミの式で整理できることが分かり、SiC生成の反応機構とその反応機構を実現出来ていることを示す重量減少曲線の管理ポイントが明らかになった。

 

新しい評価技術では、研究を行うことにより確かな技術まで磨き上げることができた。このような研究をしなくても品質管理手法でため込んだデータを解析し信頼性を導き出すこともできるが、多くの試作が必要になる。

 

大量の試作が必要になるならば、たった一つの真理を求める研究を行ったほうが経済的である。技術と研究の関係において、科学の研究方法に優れているところがあるとしたら、一つの真理が得られることにより業務効率を向上させることだろう。

 

カテゴリー : 一般

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