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2017.12/30 技術開発のやり方(3)

見た目の悪いペレットの高次構造に対して、R社担当者から形式知でいろいろと説明してもらったが、へりくつにしか聞こえなかった。ただ、へりくつにしか聞こえない説明でもゴムの混練と樹脂の混練という技術について、その考え方が大きく異なることが見えてきた。

 

経験知によれば、ゴムの混練では、「高分子を練り上げる」である。しかし、へりくつから見えてきた樹脂の混練では、「高分子をうまく混ぜる」作業だ。すなわち、樹脂では高分子が練れている必要はない、ということだ。

 

同じ高分子というカテゴリーの材料のプロセシングでも樹脂とゴムの混練に対する考え方の違いは、面白かった。しかし、混練の形式知をまとめた教科書には、このあたりについて詳しく書かれていない。

 

ゴムの経験知から、樹脂の経験知不足を不安に感じ、徹底的に調査した。その結果分かってきたのは、混練について高分子材料の視点から見て当方の知的欲望を満たしてくれる教科書が無い、と言うことだ。高価な混練に関する教科書を3冊ほど買い込んだが、どれも欲求不満となる内容だった。もちろんそれらの教科書には、当方の発明したカオス混合装置のことなど触れていない。

 

技術開発では、形式知と経験知の整理ができていることは大切である。技術開発の過程で様々な現象に遭遇することになる。それらの現象の中には、科学で解明されていない現象も多く存在する。

 

科学で解明されていない現象に遭遇したときに、形式知ではなく経験知で処理をすることになる。この時、うまく行くかどうか保証されていない。さらには、目の前で起きている現象が、過去の経験知と異なる経験知を要求してくる場合がある。

 

形式知は、教科書で簡単に補うことが可能だが、迅速に経験知不足を補うことは難しい。ゆえに技術開発を行うときに、この経験知不足の問題をどのように克服するのか、いつも考えておかなければいけない。経験知でも短時間で補う方法があるのだ。これは技術開発のノウハウだ。

カテゴリー : 一般 電気/電子材料 高分子

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