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2018.01/16 成人式のやり直し

はれの日の倒産で影響を受けた新成人のために成人式をやり直す、との話が出ている。民間の有志だけなら問題にはならなかったが、お役所もそれに賛同して動き出したので税金の無駄使いだ、と言い出す人が出てきた。

 

成人式が人生に一回きりという理由だけで救済する必要があるのかどうか、よく検討する必要がある。人生に1回きりという機会は、最後から順番に葬式、定年退職の送別会、結婚式などがある。

 

最近は何度も結婚する人やしない人、何度も転職を繰り返す人も多くなったから、だれの人生にも確実に1回しかない、というのは成人式と葬式になる。

 

このように考えると成人式は定年退職の送別会より重い価値となるのかもしれない。一方で、定年退職の送別会や結婚式披露宴では、文句なしにヨイショしてもらえるので、回数に関係なく人生で気持ちよくなれる貴重な機会だ。

 

退職の日が東日本大震災と重なり、最終講演会と送別会が吹っ飛んだうえに帰宅難民となって、誰もいない会社の事務所で一夜を過ごした。この貢献した会社に地震を起こされて引き留められたような体験をしてみると、気持ちよくなれるはずの送別会がつぶれたのも一つの思い出として、あきらめることができる。

 

ゆえに人生に数少ない機会がつぶれたからというだけの理由で、やり直しをするかどうかは、人生さいおうが馬で、どちらでも良いような気がしている。

 

例えば、子供から大人になる儀式の日に厳しい社会の試練を味わうことができた、という視点に立てば、成人式のやり直しは不要という考え方もできる。

 

一方で、ひどい大人と関わったためにかわいそうな目にあったが、成人式のやり直しを実行してくれるような親切な大人に巡り会えたという健全な思い出を重視するならば、やり直しをした方が良い。しかし、やり直しで何人集まるのか。

 

サラリーマン最後の日が天災でつぶれた時に最初に考えたことは、この日定年退職を迎えた人は何人いたのだろう、という同じ境遇の人への思いである。

 

さらに、当方は交通機関がすべて止まったために自宅へ帰宅できなくなる不幸が重なった。そこで不幸な仲間の次に考えたことは、定年退職の思い出として長年勤務した会社に泊まりたいと考える人は何人いるのだろう、と物好きな人の数を想像した。

 

その夜、写真会社は災害時のために準備していた夕食と朝食を帰宅難民として宿泊する社員に配布してくれた。それを食べながら机の上に置かれた花束を見て、不思議な気持ちになった。

 

(注)退職してしばらくしてから送別会をやるから都合の良い日を教えて欲しい、と元部下から電話があった。転職したときには、ゴム会社で人事決済が下りず、どたばたした退職だったので、やはり転職まで送別会をしてもらえず、この時と同様に退職後に連絡が来た。その時は冗談で、住友金属工業とのJVを立ち上げたVIPの退職祝いだからどこかのゴルフ場で1泊二日の送別会ぐらい開いてくれるなら参加する、と回答したら、平社員の身分なのに豪華な送別会を企画してくれて、記念品はゴルフバッグだった。転職理由が後味の悪いものだったので、本当は送別会など期待していなかった。嬉しい気持ち半分と無理なお願いを聞き入れてくださった元同僚達の懐を心配し、少し複雑な気持ちになった。この時の経験もあり、定年退職後の元部下からの問い合わせには、「ささやかに焼き肉屋で」と謙虚に応えたらほんとうに部門だけのささやかな楽しい送別会を開いてくれた。その1年後、最後の仕事で社長賞を取ったから、と彼はその時の記念品をわざわざ送ってきてくれた。成人式をやり直した方が良いのかどうかは、皆が賛成し支持する形式ならば参加する人に良い記念になるだろう。人生の節目の思い出は、いつまでも忘れないものなので、全員が納得するような結論が良い。

 

 

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