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2018.03/04 日本女子レスリングのパワハラ

日本女子レスリング栄コーチのパワハラがニュースになっている。この告発について日本レスリング協会は、その内容をすぐに否定した。当方はこのような問題でレスリング協会側の対応は正しくないのではないか、と思っている。

 

組織内のこのような告発に対して、仮にその事実が存在しないとしても、責任者がすぐに否定するのは、この問題の関係者の中で一番配慮されなければならない対象を軽視していることになる。

 

そもそもこのような組織における内部告発は、組織内の不誠実を正すために行われる。その告発行為に悪意の有無に関わらず「不誠実ではないが、立場が変わると何らかの不誠実と見えてしまう行為」のようなものでも少しでもあれば、告発される可能性が出てくる。

 

例えば、告発状の中身について、リオ五輪で栄氏が《選手団と一緒に行動することなく、自分が気に入っている選手(吉田沙保里、登坂絵莉)と共に、選手団の乗る飛行機とは別の飛行機のビジネスクラスに搭乗》したといい、伊調は《選手団の一員として、エコノミークラスでリオデジャネイロに向かった》とニュースで報じられている。

 

おそらくこれは事実だろう。海外出張で一部上場の社長であってもビジネスクラスを使わないケースがあるという。ビルゲイツでさえ、到着時間が同じならどうして高いビジネスクラスを使う必要があるのか、と発言している。このような視点に立てば明らかに不誠実と見えてしまう事実が一つ存在しており、協会がすぐに否定したのでは、さらにすごい問題があるような誤解が生まれる。

 

そもそも栄氏の過去の発言の中には、支配欲を感じさせる言葉が報じられており、これが伊調選手にどのように聞こえたのか、敏感な大人であれば想像がつく。本欄ではこれ以上書かないが、この問題で一番の被害者は伊調選手であり、東京オリンピックを控え彼女へ最大限配慮された問題解決が望まれている。

 

ところで、「政治の課題は、支配欲を社会的に最も建設的に発揮させることである。」とドラッカーは述べ、人間の支配欲を否定するのではなくそれを社会に役立つように機能する仕組みを作ることだと提案している。これが企業経営であれば、利潤動機である。レスリング協会であれば、伊調選手の5連覇をレスリング協会共通の目標とし責任とすることだ。

 

すなわち、東京オリンピックで伊調選手が5連覇できなかった場合には関係者の処分可能性を文部科学省は通達すればよい。先のオリンピックで吉田選手が銀に終わってもコーチ陣におとがめなしである。そして現在に至っているのだ。栄コーチの問題というよりも、それを放置してきた組織の問題である。

 

カテゴリー : 一般

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