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2018.08/28 スピーカー(2)

昨日の続きだが、高級スピーカーと呼ばれるものには、かつて何となくクリスタルで話題になったJBLがあるが、最近は人気が無い。

 

このJBLスピーカーの特徴は大口径のウーファーとホーンスピーカーで音楽を壮大に聞かせる。しかし、デジタル化により、アンプの出力向上やSN比の向上により、高能率のスピーカーよりも繊細な音表現が好まれるようになった。

 

B&Wのスピーカーはまさにそこを狙ったスピーカーで能率は低いが音の分解能は高い。昔はソフトドームスピーカーをはじめとして、高域を駆動するスピーカーの材料は絹など軟らかい材料が用いられていた。

 

本来は高剛性で高周波数領域で内部損失の大きな材料がよいのだろうけれど、これは材料物性として二律背反となる。最近はアルミニウムやマグネシウムを用いてそのような材料加工ができるようになった。

 

B&Wは、アルミニウムやマグネシウム製の高剛性材料をツイーターに用いて成功した会社である。この会社の高級品はダイヤモンドを蒸着したツイーターが使われているが、蒸着ダイヤモンドは単結晶よりも少し弾性が落ちる。

 

今では分解能が高いと言われているスピーカーの多くは金属製のツイーターを用いている。ダイヤモンドでなくても聴感上変わらないのでわざわざダイヤモンドを使用しているのは、いかにも、という印象を受ける。

 

日本にはダイヤトーンというブランドが昔あったが、ダイヤモンドではなくボロンを使用したツイーターを過去に開発している。ボロンも硬い材料だ。ツイーターは硬い材料が良いのだけれど材料の固有振動数の問題で昔は柔らかい材料しか使えなかった。

 

ダイヤモンドを使用していないダイヤトーンよりも有名ではないが、日本を代表するスピーカーメーカーの一つフォステクスは、金属製の振動板を用いたウーハーやスコーカーを用いた高級スピーカーを販売しており、高級スピーカーメーカーの仲間入りをした。

 

ここは、スピーカーユニットを部品として販売しており、スピーカーの自作ユーザーには無くてはならないメーカーだ。最近B&Wの技術者が立ち上げた台湾のマークオーディオは、金属製の振動板を得意とするパーツメーカーの一つだ。

 

金属単体の振動板ではないが、金属をウーハー材料として最初に用いたのは日立LoDで、1970年代にアルミ箔とパルプのサンドイッチ構造の振動板を開発している。

 

パルプとサンドイッチにして材料そのものが振動するのを防いでいるが、硬い材料と柔らかい材料を複合化する手法が防振材料として使われるようになった時代である。

 

老舗のオンキョーは、金属とパルプのハイブリッド振動板をツイーターに用いたブックシェルフスピーカーを同社のハイエンド製品としている。

 

なお、最近話題のセルロースナノファイバーを最初に実用化したのはオンキョーで、ウーハーの素材に味の素の菌セルロースをスコーカーとかウーハーにかなり以前から使用している。

 

このハイエンドスピーカーは日本を代表する名器だと思うが、1台17万円と良心的な価格である。最近発売された同社のハイエンドホーンスピーカーよりも音楽を雄大に聞かせてくれる(明日に続く)。

カテゴリー : 一般 電気/電子材料

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