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2018.09/14 シリコーンゴム・レジンの講演

今週月曜日台湾ITRI(日本の産総研のような組織)から表題の講演の講師として招聘されたので終日講演したが40名近くの聴講者がいたのでびっくりした。さらに終了してからの名刺交換会で熱心な質問に圧倒された。

 

質問は当方にとって簡単な問題だったが、質問者は真剣に質問されていたので、通訳の女性が少し大変そうだった。講演は通訳の女性の能力が高くスケジュール通りに終えることができたが、この質問攻めで会場の制限時間をオーバーし、会場整備担当の方に少しご迷惑をおかけした。

 

全ての質問は、参加者が日ごろ困っている問題であり、問題の内容はシリコーン特有の問題ではなく、その上位概念である高分子技術に関して理解していないことだった。

 

ただ、このようなことは国内のセミナーでも経験をしており、質問を受けながら改めて世の中に実務を配慮した高分子の教科書が少ないことを実感した。例えば講演の内容に関してシリコーンユーザーの視点で書かれた教科書が皆無であり、資料を作るうえで参考になる資料を見つけることができなかったことからもそれが明らかだった。

 

さらに、これまでシリコーンゴムや樹脂について特化した講演が未経験だったので資料を新たに作成しなければならず大変だった。しかし、資料を作成しながら当方がシリコーンの専門家であることに気がついた。セラミックスから高分子まで専門領域が広い、と言われたりするが、いわゆる皆材料分野の一コマに過ぎない。当方は実務経験が幅広く豊富な材料の専門家なのだ。

 

シリコーンではこのようなキャリアがある。大学4年の卒論研究はアメリカ化学会誌に紹介されており、これはトリメチルシリルメチルグリニア試薬の合成から始まり、ゲラニオールの全合成に関する内容である。すなわちカーボンファンクショナルシランの合成と応用技術を学んだキャリアである。シランについては知らんことは無い。

 

就職してからは、ポリウレタン発泡体やフェノール樹脂発泡体の開発でシリコーン界面活性剤について研究している。この研究で製泡剤や消泡剤へのシリコーンの応用技術や細かいノウハウを習得している。さらに学会発表もしている。

 

高純度SiCではシリコーンを前駆体の原料に用いているし、またそのリアクティブブレンド技術も開発している。電気粘性流体の開発ではシリコーンオイルのデザインから始まり、短期間でホスファゼン難燃オイルまで開発する成果を出している。

 

極めつけは写真会社で退職前の5年間にシリコーンLIMSを用いて定着ローラの開発を部下に指導していたことだ。およそ35年間のサラリーマン生活では恐らくシリコーンメーカーの技術者よりもシリコーンの応用技術に詳しくなるぐらいの勉強や研究をしていたことになる。

 

また、実際に、定着ローラの品質問題では、問題解決の必要からシリコーン御三家の一社である某S社のシリコーン技術者の指導もしていた。この講演会を引き受けてえられた最大の成果は、相談者やセミナー依頼が無かったので特に意識していなかった自分の専門について独自の資料のまとめから気がついたことだ。

 

来月は電池技術のセミナーや高分子の劣化に関するセミナーの講師を引き受けているが、企業の技術者が講演しにくい他の技術分野についてもう少し当方の身に着けている技術を棚卸してゆきたいと思う。

 

 

 

 

カテゴリー : 学会講習会情報 電気/電子材料 高分子

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