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2018.10/28 企業の姿勢

「オプジーボに関する特許は本庶先生と小野薬品の共同所有。小野薬品から本庶先生に幾ばくかのロイヤリティは支払われているようですが、それとは別に、本庶先生は売り上げの一部を大学に寄付するよう要請している。それで基金を設立し、若手の研究者育成に充てたいという一心でのこと。ところが小野薬品は渋っている様子で、本庶先生はそれに立腹しているのです」(製薬業界専門紙記者)

 

さらに「本庶氏は受賞会見で「この研究に関して、小野薬品は全く貢献していません」と断言していた。」と記事にはある。これはノーベル賞受賞時、すなわち1ケ月ほど前の記事だが、これについて本欄で取り上げるには少し躊躇した。

 

本庶先生の気持ちを理解でき、小野薬品の企業文化や経営者の資質がこの記事に極めて明確に表れているからだ。記事には一時期弁護士も交えて話し合われ、小野薬品は何らかの寄付をこの研究分野にすることになった、と書かれているから、小野薬品の姿勢があまりにも企業の利益を優先した行為である。

 

一方本庶先生は受賞記者会見で記者が引くほどこの件を語ったのが正しい発言とはいえ、記者たちには、事情が分からず運よく転がり込んだ利益を社会へ還元しようとしない小野薬品への同情も働いたのかもしれない。

 

また、本庶先生が発言しなければ考え方を改めない小野薬品のような、少し「恥ずかしい企業」が多いのではないか。個人の血のにじむような努力の成果に対し、それを理解できても報いようとせず、楽に椅子に座って、その成果を笑いながらむさぼる経営者が増えてきた。

 

このような問題は、社会全体がそのような経営者の存在を認めている限り、本当に努力した人が報われるあるべき姿に社会が向かうようにはならない。ところが本庶先生の記者会見で、記者がドン引きしたと言われるように、仮に本当のことを述べても、その事実を認めたくなくてそれを語る人物の価値を下げるような見方をする社会である。個人の努力が評価される時代は遠い。

 

この本庶先生の記事についてすぐに書き始めていたならば、記者会見同様にこの活動報告の読者がドン引きする様な事実を書き連ねていたかもしれない。世の中には、ノーベル賞受賞に至らなくても、その人がいなかったならば、絶対に完成しなかった技術や製品、さらには事業というものがたくさんあると思っている。多くの価値を社会に生み出しながらも十分に報われず、それでも前向きに努力している人達に感謝!

 

 

カテゴリー : 一般

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