2019.01/04 研究開発部門の企画(1)
1970年前後の研究所ブームでは多くの企業で研究開発部門が、それも全社の基盤技術を高めるための基礎研究を重視した研究部門が設立され、それが日本企業の成長のエンジンになった、と言われている。
50年近くたち、製造業の研究所に対する評価は経営者によりさまざまである。基礎研究部門を廃止した企業も存在する。一方で既存の事業領域を超えて研究開発を進めるために基礎研究所を改組し、未来技術研究所としたところも—。
企業により研究開発部門の運営はさまざまであるが、50年前の研究所ブームと現代と大きく異なるのは、過去のアカデミアの様な基礎研究一本やりの研究所は無くなった点である。化学系企業の経営者の意見を聴く限り、50年前の研究所と現在設置されている研究所はテーマも含めて企画の方法まで異なる。
当方がゴム会社で研究開発部門に配属されびっくりしたのは、アカデミアに近い基礎研究を重視した雰囲気だったことである。目的が不明な研究テーマを見つけたときにはびっくりした。
12年勤務し、写真会社へ転職するときに電気粘性流体の増粘問題に取り組んだ報告書を当時の上司にお願いして見せていただいたが、その報告書ではイムレラカトシュが「科学の方法」で指摘していた完璧な否定証明が展開されていた。
当方はその報告書を読みながら、電気粘性流体開発のお手伝いを頼まれた2年ほど前を思い出し、もしその時この報告書を見せていただいていたなら、と残念に思った。
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