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2019.01/27 発明アイデアがまとまる時

昨日の朝ドラ「まんぷく」では、発明のコンセプトを基に具体的な発明を開始するための「発明アイデアの具体化」の過程が、コンセプト形成過程と同様に科学的ではなく技術的な手法の事例としてうまく描かれていた。

 

インスタントラーメンのコンセプトは決まったが、具体的なインスタントラーメンの商品の姿がまだ見えていないマンペイさんは、屋台のラーメンを食べたり、フクちゃんとコンセプトについて議論したりしている。そのプロセスでトリガラスープなどのアイデアが出てくるのだが、なかなか商品の具体化までには至らない。

 

ある日、とろろ昆布にお湯を注ぐフクちゃんを見て、商品の完成形「お湯を注ぐだけで作れるラーメン」「麺からスープの味が染み出すラーメン」などのアイデアが出てきた。

 

このシーン、科学ではないのである。日常の経験である。すなわち、日常遭遇する現象から商品イメージ、商品の重要な機能を導き出しているのだ。おそらくこの演出家は技術というものをよく勉強した可能性がある。

 

単なる思い付きではなく、目の前で起きた現象から機能を取り出している点が重要である。とろろ昆布はラーメンの姿からほど遠いが、お湯の中に味の成分を拡散させて、そして自らはスープの具として機能している、この現象からインスタントラーメンという商品に重要な機能をとりだしていた。

 

これはインスタントラーメンの基本機能であり、この基本機能ゆえに大ヒットしたのだ。現象から基本機能を取り出すことに成功したマンペイさんは、親戚一同集めて商品名を決めるブレインストーミングを始めた。そしてお母さんの提案した「即席ラーメン」が商品名として決まった。

 

ブレインストーミングはともかく、「即席ラーメン」という商品の基本機能の描き方は、技術の発明の姿の描き方として秀逸である。科学が生まれる前の時代に活躍したニュートンはリンゴが落ちるのを見て万有引力を思いつく逸話は、マッハ力学史には「月がなぜ落ちてこないのか、とニュートンは考え続けた」とある。

 

リンゴが落ちる逸話はニュートンの着想をわかりやすくするために考えられたかもしれない。むしろすべてのものが地球に落ちてくるのに、なぜ月が地球に落ちてこないのか考えた話のほうが、ニュートン力学の体系を作り上げた事実と照らし合わせたときに信ぴょう性がある。いずれにしても自然現象の観察からアイデアが生まれていることには違いないが。

 

とにかく技術というものは人間の営みとしての活動の一つである。それは日々の生活で遭遇する現象から人間に役立つ機能を取り出す作業だ。古来から行われてきた技術開発のエンジンは科学的論理ではないのである。

 

科学も技術も観察が重要な行為である、と位置付けているが、科学では、観察した現象から仮説を導き出したり、あるいは現象そのものを仮説の実証対象としたり、現象と理論との論理的結び付けが求められるが、技術では現象から機能を取り出す作業が重要視される。

 

科学における観察と論理については小学校から高等教育のレベルまでそれを基本として学ぶが、技術における観察については義務教育も含め公教育で学ぶ機会が無い。企業の現場が唯一の機会であるが、弊社ではセミナーの中でそれを提供している。

 

カテゴリー : 一般

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